2010/12/24

なぞめいた海上の遺構

 ――― 2010年12月24日。『なぞめいた海上の遺構』 ―――
おっさんの船頭が操る小舟に乗って、われわれ少年少女は、海の上に口を開いたふしぎな遺構に向かっていた。
やがてわれわれが見たのは、海面からわずかに顔を出しているだけの岩盤と、その頂点に開いた四角い穴であった。

見えている部分はごく小さいが、しかしその岩盤はひじょうに大きく平べったく広がっているもので、その一帯に巨大な暗しょうをなしているようだ。なるほどこれでは、小舟でなくては近づけない。
またその岩盤の頂点の穴は、ほぼ正確に真四角で、人が開けた穴にしか見えなかった。そしてその大きさは、一片が60cmあるかどうかという小ささだった。

ここで自分の頭の中に、地図のイメージが浮かんだ。地図は、近畿地方を表していた。
そこに絵解きされたルートによると、われわれは大阪湾から出発し、南下した。そして、ひじょうに狭くて通常船舶が通れない海峡を通過、さらには知られざるふしぎな海流に乗ったりして、いま和歌山県沖あいのこの場に達したのだった。

さて、事前に聞いた話だと、この遺構と呼べそうなものは、江戸時代くらいのむかしに金が採掘されていた場所らしいとか。できるなら、その内部を探検したいと思っていたけれど。
けれども目の前の心細い穴は、人間が入っていけるものという感じがしない。そもそも波をかぶるくらいの低い位置に存在する穴なのだから、その中は海水に満たされてしまっているのではなかろうか? どうしたものかと、われわれはその穴を眺めているばかりだった。

2010/12/12

ビリティス in シブヤ

 ――― 2010年12月12日。『ビリティス in シブヤ』 ―――
渋谷の街を歩いていると、劇場街で、「ビリティス」が演劇としてリメイクされた公演が、かなり人気を集めているようだった。ポスターを見ると、『あえて16時という開演時間を設定しました!』と、わかるようなわからないような宣伝文が目についた。

気がつくとそのあたりの路上は、公演につめかけた女性らで、かなりごったがえしていた。見ると同年代の女性のグループに加え、母と娘らしい組み合わせのお客が目立った。そして『ビリティス・ガールズ』と呼ばれる女性たちが、ふんいき作りと警備係をかねて、おそろいの白い服をまとって、劇場周りで活躍しているのだった。

と、それはいいが。しかし、会場付近の人々を整理しようとしているビリティス・ガールズの態度に、乱暴で強硬なところがずいぶんあるように思えたのだった。自分はたまたま街頭でそれを見かけただけだが、『これはいきすぎでは』…と考えていた。

(註。「ビリティス」とは、1970'sのデヴィッド・ハミルトンによる、レスビアン的なムードの映画作品だと思う。自分はちゃんと見たことはない。また、夢にみた街並みは、後で考えたら渋谷よりも有楽町に近いものだった。
また、ちょっと解釈的なことをメモ。この夢に登場したビリティス・ガールズは、自分の中でのラディカル・フェミニストに対するイメージかもしれない)



同じ日にみた、関連ありそうな別の夢。

自分は歩いて、渋谷の中心街に向かっているつもりだった。歩いていると、ひじょうに巨大な角川書店の本社ビルの真横を通り過ぎた。社屋の周りに、何か用があるのだろうか、アキバっぽい少年たちの小グループがたむろしていた。
…いや、何かがおかしい。路上の掲示などを見て地理を確認すると、自分はどこかで方角をまちがえて西へ行きすぎ、幡ヶ谷かどこかへ向かっていたらしかった。

それから引き返して自分は、同じ目的地に向かっている仲間の青年らと落ち合った。すると彼らにしても、目的地へのルートには明るくないようだった。
そしてひとりの仲間が、『こう行くのでは?』と示したルートは、さっき自分が迷い込んだところだった。『それだと、違うんだな』と指摘しながら、ちょっといい気分になっている自分を感じた。

(註・角川書店の社屋は、そんな位置にはないし。そして実物は見たことないけれど、いくら何でも夢の中のイメージはりっぱすぎ)



もうひとつ、同じ日の夢。

弟が内装関係か何かの会社を起こしたので、自分はそこに雇われる。そしてふたりで、得意先廻りに出かける。
畳の敷かれた団地の集会場のようなところで、得意先の社長に会う。和室なので正座して、弟が先に自己紹介し、自分が続く。ところがふたりとも名刺を持っていないことに気づき、『おかしいな』と感じる。
すると向こうの社長は自分をさして、『あなたがお兄さんなんですな』と言う。つまりおまえがヘッドなのか、というニュアンスを感じたので、『そうですが、社長は弟です』と自分は返事する。

2010/11/05

みどり色のクジラ

 ――― 2010年11月5日。『みどり色のクジラ』 ―――
むかし懐かしいバンド映画に出演しているようなふんいき、「ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!」等のような。

そして自分らのバンドメンバーは、ホームタウンのロンドンからニューヨークに向かおうとして、電車に乗り込む。すると取り巻きの少女たちもついてきて、対向のロングシートに並んで腰かける。
そして彼女らのひとりがこっちに向かって、半ばあざけるように言うには、『(電車なんかよりも、)クジラに乗って行ったら?』。

意味がよくわからないのでふと見ると、シートをはさんだ電車の床の上に、あざやかなみどり色のクジラの作り物が20個ばかり、あちこちの方向を向いてびっしりと存在していた。
そのクジラ型の置き物(?)の、それぞれの大きさは30~40cmくらい。プラスチックやウレタンフォームでできているのだろうか、コミカルな造形で、大きな口を開けていて、中はほとんど空洞のようだった。



…というところで夢は終わり。これ以前のお話があったように思うが、それは忘れてしまった。
なおこの夢について、視点はイギリスのバンドのメンバーにあったのだが、しかし『見ている自分がバンドのメンバーである』という感じが、あまりしていなかった。つまり『映画』として、主観的な映像をみている感じだった。

音響専門学校

 ――― 2010年10月28日。『音響専門学校』 ―――
たぶん音響系の専門学校の夜間コースに通っているが、自分の出席率が、あまりよくない。いまはその教室に来ているが、前に来たのはいつだったろうか?

ただ、オレだけが不熱心だというわけでもない感じ。1人の女の子が、別の女の子(委員長的な存在?)に呼び止められて、『○○さん、これいまできる?』と言われている。未提出の課題を出せ、と言われているらしい。

(今や自分でもよくわからないメモ、)教室にそなえつけの出席簿、似顔絵で。オレは先週はいなかったが。

高校の同級生だったY川くんが、何かを話しかけてくる。けれどよく聞き取れず、『え、よく分からないんだけど?』と聞き返す。
相手のおしゃべりもあまりあれだったが、しかし『聞きたくない話なのでよく聞こえない』、ということがあるかな…と、自分は夢の中で考えていた。

2010/10/24

膠着状態

 ――― 2010年10月24日。『膠着状態』 ―――
プールじゃないんだけど、水を抜いた小さなプールのような場所。その中に追い込まれて、ひじょうに強そうな不良から、タイマンを挑まれている。それ以前のお話がいろいろあった気がするが、それは忘れてしまった。

追い込まれた場所は、ふつうの地面より、1m以上も低くなっている。しかもその周囲の高いところから、不良の仲間のデブ君が、戦況を見おろしている。そして自分が俊敏でないし、これでは逃げおおせることができそうもない。

では、自分の相手の不良君は。ジャンプのまんが「ブリーチ」のヒーローを、すごく悪くしたような感じのヤツで。
彼は自信満々に距離を詰めてきて、首と首を抱えあうような体勢になった。そして向こうはいまだ力を入れてこないので、こっちは何でもできるっちゃできる。
テンプルをぶん殴ることもできそうだし、ボディを喰らわすこともできそう。がしかし、やったところで効くような気がしないのだ。何しろ自分が非力だし。

むしろそれをきっかけに、コテンパンにされそうな予感がひじょうに! こっちに先手を取らせた上で、ものすごい仕返しをしようとしていそう、相手のよゆうありすぎな表情から、そのような気がしてならない。
それでどうともしかねて、自分は膠着状態を維持するばかりだった。

2010/10/23

アリアル・パチャトゥーラ

 ――― 2010年10月23日。『アリアル・パチャトゥーラ』 ―――
アリアル・パチャトゥーラというものがあるらしい。よくわからないが、Wikipediaにもその項目があるようだ。

それは何かって、映画の題名のようでもあり、まんがのようでもあり。
…何となく後者の線が濃いが。それは女子中学生を主人公にしたような、日常コメディのような、サバイバルもののような? 『高いところから飛び降りる』というモチーフのあるもののような?

どうであれ、ちょっと面白そうでもありながら、けっきょくさいごには自己否定しているような作品なのじゃあるまいか、という気がした。

2010/10/10

ソープ的マルキシズム

 ――― 2010年10月9日。『ソープ的マルキシズム』 ―――
オレは大学3年生という設定で、現実にそうだったように、単位の足りなさを気にかけている。
飲み会に連れていかれ、ビール2杯しか飲んでないのに、割り勘でそれぞれ2万円の勘定だと言われる(!)。サイフの中には、1万5千円くらいしか入っていないのに!(これは現実がそう)
頭を抱えたオレが、うつ病か何かになりそうかもと見かねた女性の先輩が、その勘定を立て替えてくれたらしい。オレはその店を出る。

自分の部屋に帰る。卒業が迫っているので、荷物を実家に戻さなければならないな、と思う。叔母たちがそこへ現れ、『もう3年も経っちゃったのねえ』などと言う。

それから叔父によって、ソープランドへ強引に連れて行かれる(現実は風俗行ったことない)。とくに、そういう気分でもないのに。それもオレの払いで。
受付の後、伝票でお金を束ねて、5千円札にパンチの穴をあけたものが手渡される。そのお札は、オレのサイフから出たものだと思う。
『お金に穴開けちゃ、ダメじゃん!』と思ったが、この店的にはそれが『Paid』の印らしい。他では使えなくなるが、この店では通じる、ということらしい。
ただし、銀行で取り替えてくれそうな気もするので、このまま帰ってしまおうか…という考えも頭に浮かんだ。がしかし、ちょっとだけ好奇心がまさった。

で、伝票に『キング・クリムゾン』と書いてあり、それが相手のお姉さんの源氏名らしい。さもなくば、客としてのオレに付されたコードネームらしい。
お店は開放的すぎる構造で、おおまかな構造は2重の同心円になっている。内側の円はプレイルームで、後で知ったのだが、仕切りも何もない。その中で、30~40くらいのペアが、ひしめきあうような状態でソープ的なプレイをしているのだった。

で、そのプレイルームにたくさんのドアがあり、担当のお姉さん別に入り口が分かれている。自分は該当するドアの前で、電光掲示板に『キング・クリムゾン』という字が出るのを待たねばならない。
待っている場所が外側の円で、同じように待っている人々がずいぶんいた。かつこの外側の円のあちこちに、カウンターやゲート的なものがある構造になっていた。

ところがずいぶん待たされて、気がそれたところで掲示を見逃し、オレの順番は飛ばされてしまったようなのだった。で、そんな場合はその次の番、というほどかんたんなシステムではないようなのだった。

どうしたものか…と考えながら歩いていると、プレイルームの中が丸見えの、大きなはめ殺しのガラス窓に行き当たった(記述が前後したが)。思い出すと、アングルの名画「トルコ風呂」のような眺め、という感じもあった。
そして見ていると、たった5千円のわりにかなり激しいサービスがなされているようなので、『このまま帰ってもつまらないかな』と感じた。

困ったところで、カウンターのお兄さんに相談した。カウンターと言っても、廊下の真ん中に学校の机とイスが2~3コ並んでいるようなところだが。
すると、黒ブチめがねの秀才風、そしてバイト学生風、あえて言うと「うる星やつら」のメガネ君みたいなお兄さんは、オレの渡した伝票をチェックしながら、『あーこれね。…もう、まったく、よけいなこと書いて』…と、ふしぎなことをつぶやいている。

『あ、いや、その用紙は、オレが書いたのではないのですが…』
『うん、それはわかってますよ? しかし、職員に正しい手順をわかってないヤツが多くてネェ、ほんとに』

どこの職場でもあることで、言いたいことは分かるが、でも客のオレに言わなくても…と思った。ともあれ彼は、伝票等を作り直してオレに手渡し、『これで大丈夫』的なことを言った。

するとこんどは、コードネーム(?)が『ストライパー』になっている。しかも、5千円札だったものが、どこの国の通貨ともつかない、見慣れたお札になってしまっている! これではもう、持って帰っても仕方がない。
自分は該当するドアの前で、再び待つ。前のお客が、すっきりした感じで出てくる。
次は自分かな…と思ったら、予想外にお姉さんが顔だけ出してきた。自分は目の前で、それを見た。
その女性はわりに美人だったが、年齢は30過ぎくらいか、そして疲れている感じは厚化粧では隠しきれていなかった。で、その女性が、視線をオレとは合わせもせず、『次からは、18時からの部になりまーす!』、と、感情も込めずに言ったのだった。

かくて全館が、休憩時間に入ってしまったようなのだった。すると、館内のふんいきが一変した。オレが突っ立っていると、数人のナースが用具を載せたワゴンを押しながら、『どいてどいて!』と言わんばかりに、足早に通り過ぎていった。たぶん、お姉さんたちの体調の検査等があるのかな、と思った。
それから廊下では、さっきまでお客たちが座っていたイス(病院の待合室のイスみたいなもの)に、男女の職員ら10数人が腰かけて、何か講習のようなものが始まった。聞いていると、それは何とマルクス主義の学習なのだった。

妹とハグすると

 ――― 2010年10月5日。『妹とハグすると』 ―――
妹とハグすると、いつのまにかオレ(170cm)より背が高くなってるのでショックをこうむる。
(ただし、現実の自分は弟が2人で妹はいない)

と、これだけでは短すぎてあんまりなので以下、日付不明(たぶん10月初め)の夢のメモをあわせて掲載。

何かの施設の職員である自分、辞めたい。
おやつの時刻なので、小さいけどケーキを1つもらう。うまい。
(下のフロアに)人がやたらと増えて、階段を降りれない。人の頭を踏んじゃうので。

宇宙への転職。クビになった人々が他の星へ植民させられる。
ただし中高年ばかりなのが、政策として疑問。

2010/09/27

MC合戦のセコンド

 ――― 2010年09月27日。『MC合戦のセコンド』 ―――
以下は、やたらに長い夢の、ごく一部分。

話題のラッパー同士のMC対決が、演出のためにリングの上で行われる。自分はびみょうに関係者であるらしく、その一方のセコンドを演じているつもりで、ゴングが鳴る直前、コーナーの下にしゃがんで選手に付き添っている。

だがしかし、ゴングが鳴りもしない前に、『ま、そろそろいいか』と思って自分はその場を離れ、違うところで何か違うことをする。

それから帰宅すると(現実の自宅と異なる、やたら地べたが近いあばら家)、意外と玄関にカギがかかっていたので、すぐ横の戸口から家に入る。
そうすると、N子が来ていて、汚そうな畳の上にぺたりと座って、新聞のような雑誌のようなものをたくさん拡げて眺めている。

そして何だかふきげんそうなので、自分が『どうしたの?』か何か声をかけると、N子はだまったまま、自分に1冊の雑誌をつきつける。それが変形大判で30cm角の、むかしの『ele-king』のようなもの。
で、そのカバー写真が、先ほどのMC合戦の、試合前のコーナーを写したもので。選手と一緒に、セコンドの自分がバッチリ写ってしまっている。
それを見て自分は、『ん、思ったほどいい男に映ってねーな』…と思い、特に後頭部のへんなところで毛がハネ気味だ、ということを思う。
で、これがN子のふきげんのタネだということが、何となく分からんでもないが、しかし具体的にはよく分からないのだった。

(付記。自分とN子が共同名義で『ele-king』に寄稿していたことがあったので、これはそれに関係した夢ではあろう)

2010/09/26

なぞのロックバンド

 ――― 2010年09月25日。『なぞのロックバンド』 ―――
聞いた話で、『オーズ(O-s)』とか『アーズ(A-s)』とかいう運動体的なロックバンドがすごい動員を記録したらしい。興味をもって話を聞いて回るけど、どういうものかはっきりしない。が、どうも、そのバンドメンバーもファンも、全身白い服をまとった女性らであるらしかった。

2010/09/24

学校給食に関するアンケート

 ――― 2010年09月24日。『学校給食に関するアンケート』 ―――
弟の学校給食に関するアンケートを書かなくてはならない。質問票を見たら、けっこう美味しそうな献立らが、カフェのメニューみたいなおしゃれっぽい写真で紹介されている。

だがしかし、『それぞれ完食したか否か』という問題は、喰った本人でもない自分には答えられない…ということに気づく。摂取量に応じて給食費が変わるらしいので、まじめに答えなければならないのに。

献立表をかねた質問票をよく見ると、給食中のBGMは、ジョン・フォックスやゲイリー・ニューマンだそうなのだった(選曲リストつき)。たぶん彼らが、本国イギリスの学校の給食タイム用に書いた曲らが流用されている。

さらによく見ると、(ありがちな)MSパワーポイント資料みたいでもある質問票。その、別になくてもいいような挿し絵が、過剰に色っぽい人妻(たち)、手塚マンガの火の鳥、と、何だかおかしい。また、丸っこい枠を多用したレイアウト全般も、何か萌えエロ関係で見たことあるような?
これはひょっとしたら作り手が、分かるヤツには分かるような謎をかけているのでは? …と思ったところで目がさめた。

蛇足。寝てる最中のBGMに、フィリップ・グラスやらマイケル・ナイマンやらの、わりとどうでもよさそうな現代ピアノ曲をしかけていたが。その、意外と落ち着きないところが、夢のふんいきに出ていたような。また、『食事を完食したか否か』という問題は、介護の仕事から出ている話かとは思う。

2010/09/14

1990's ドリーム

 ――― 2010年09月14日。『1990's ドリーム』 ―――
DJナウくんと2人、スーパーファミコンにモデムをつないで、海外のあやしいフォーラムに接続して遊ぶ。どういうわけだか、サードパーティ製のあやしい周辺機器をいっぱい持っている(けっこう使い込まれたもの)。
それらの機器の多くが、意外なところにフロッピーのドライブをそなえていた。さらに、スーファミ本体の上ブタを外すと、マシンの後端部にMIDI端子が見つかった。これなら、プログラムがあればスーファミをMIDIシーケンサーにすることもできそうだった。ただしコネクタの形がへんなので、変換機材も必要そうでありつつ。

で、しばらくは興奮して、ゲームのROMやテレビドラマらしきもの(?)等のファイルを落としたり、英語のフォーラムをのぞいたりしていた。何をダウンロードしたのかナウくんが、『やべえ、システムディスクに書き込んじゃった』と、びみょうにあわてていた。うすっぺらな4角形の機材の、別々の辺に沿ってドライブがあるので、分からなくなったかと思った。

しかし。やがて気づいたのだが、『スーファミにモデムをつないで』というシステムから、この通信は少なくとも、ふつうに電話代がかかっていそう。『しまった、どうせパソコンからもアクセスできたろうに。そうすれば安上がりだったのに』と後悔の念が浮かんだ。

夜が明けて。誰だか分からないが、ワイシャツにネクタイの男性が家に来ていて、オレを見て『きみ顔色悪いね』と言った。『あまり寝てないからね』と答えた。
また、弟が体調不良のようで、様子を見に行くとベッドの中で、おそらく吐しゃ物で汚れた顔をして寝ていた。そしてオレの姿を見ると、『おぶぶー!』と、へんな幼児語で何かをオレに言った。
水を呑みたいのか、顔を拭きたいのか、どっちかな…と思いながらもオレが『おぶぶって何?』と問い返すと、弟は意外とふつうに起き上がりながら『あ、いいよ、自分でする』と言った。

テレビのニュースは、『ニューヨークの病院で死んだ息子のさいごを、ネットを利用して父が看取る』という、いいんだか悪いんだかよく分からない話題だった。

2010/09/11

ビバップ・ハイスクール・ララバイ

 ――― 2010年09月11日。『ビバップ・ハイスクール・ララバイ』 ―――
自分は高校生。そして、ケンカ無敵でイケメンなわがままお坊ちゃまのA君は、自分の友人かつ親分のような存在。

たぶん下校のため、自分らは電車に乗った。これが、どういうのか、観光用の展望車のような簡易な車両で、ドアがなくて出入口は開いているだけ、という気もした。
車両の最後尾の出入口から、われわれが乗り込もうとしたところで、先頭のA君は、いちばん後ろの席、3人は座れそうなシートで独り、ゆうゆう居眠りしているツッパリ学生を見つけた。というかA君は、その彼がいそうなことを見越していたようなふんいきもあった。

車両はわりかし混んでいたので、A君はそのツッパリにケンカを売ってやっつけて、自分らの席をゲットしたいようだった。そして、こういう流れになってしまうと、自分ごときがA君をいさめてもムダであるらしかった。
代わりに自分は、ケンカの最中にとばっちりを喰わないように、自分らの連れの女の子たち(A君の彼女とA君の妹)を、車両のすみっこにおしつけて、自分の体で保護していた。紺ブレザーの制服の少女2人は、おびえてか、逆らいもせず自分に保護されていた。
そして、自分にしたってケンカなんて怖くて見ていられないので、そっちに背中を向けて、終わるのを待っていた。

やがて片がついたらしいので自分が振り返ると、相手のツッパリ君は、頭から血を流しながら車両の床に倒れていた。そしてA君は、勝利してなお気がすまないようで、『このクソがッ!』等々といきり立って、なおも相手に攻撃を加えようとしているのだった。

『よそうよ! もう十分だろう? 死んじゃうよ!』
『ッたってよぉ! この指をどうしてくれんだよ、痛えよ!』

と言ってA君が自分に示した左手の中指は、痛々しく腫れ上がって、たぶん脱臼か骨折をきたしていそうだった。それは殴り合い・蹴り合いの最中にそうなったとも思えず、相手がA君を押さえ込んで、意図的に指を折ろうとした結果かと、自分はそのとき考えた。

自分としてはA君の無敵を信じていたので、そのやられ方を見て、『今回は意外とやばかったのかな』とも感じたが。にしてもケンカなんてほんとにくだらない、かつ、この場はいったいどうやって収拾したらよいのか…!?

2010/09/10

下北沢の年増

 ――― 2010年09月10日。『下北沢の年増』 ―――
太平洋戦争中のような、抑圧体制下。自分は出先で何かの検問に引っかかって、持ち物の検査をされた。
すると憲兵みたいな奴が、自分のサイフの中身を見て、『通貨の規制により、いまはこれらのお金は使えない』、のようなことを言い出した。見たら自分の所持金だが、既知の日本の硬貨ではないものだった。

そして『通貨の両替』をしろと言われたので、自分は闇市っぽいマーケットへ向かった。
それが実は、『両替』じゃなくて。その市場でのみ不正規の貨幣が通用するので、何か買い物をして、お釣りとして正規のお金を受け取れ、というのだった。
何かおかしい気がするが、自分は言われたとおりにそこへ向かい、1軒の古びた和風な食事の店に入った。そして、調理場の湯気が顔に当たるようなカウンター席についた。

そして出された料理は、こぶし大のカエルをまるごとゆでたものだった。
出てきたからには、喰えるものなのだろう…いやだけど喰わねばならん気が…と考えて自分は、金属のスプーンをナイフがわりに、カエルの背中に突き立てた。するとかんたんにスパリとカエルの背中の皮は破れ、ぱっくりとそこに口が開いた。

そしてそのカエルの体の中から、生きている小さなカエルが2~3匹、這い出してきた。ゆでられていても、中にまでは熱が通っていなかったらしかった。
さいごに出てきた1匹は、オタマジャクシから変態中らしくて、それだけ色が明るい褐色で、平べったいからだからヒレが出ている、いっそうグロテスクなしろものだった。

それからなぜか、その場の人々の自分に対する待遇が変わって、自分はもっと奥の座敷に通された。そこでは体格のいいおっさんたちが、『ロックとは! フォークとは! 自由なもんなだよお!』などと、酔って気炎を上げていた。

そして中年に近い、感じのいい女性が給仕について、また別の料理をとってくれた。それがまた、大小のまるごとの魚らを、何時間も煮込んだようなしろものだった。この店かこの地方の料理は、ともかく『まるごと』が基本らしかった。
まだしも食えそうな気がしたので、自分は1匹の平べったい魚を口に入れた。まるでおせんべいをかじるように、それを半分口に入れ、喰いちぎった。

目の前の、大きくて真っ黒な鉄の鍋、むかし話の挿し絵で、いろりの上にぶら下がっているようなもの。その中で、いろいろな魚がみそ煮込みになっていた。よく見ると、その鍋の底に、豚肉の切り身のようなものがはりついていた。あまり魚が好きでないので、自分はそれを喰った。

で、さっきから何くれとなく親切にしてくれる、和装の給仕の女性。彼女について、自分が頭の中でネット検索を行うと、『下北沢の“と”』、という情報がヒットした。
『“と”』とは、『年増』を婉曲に言ったことばであるようだった。うまくしてこの女性の気に入られると、飲食の饗応にあずかれるどころか、もっといろいろなサービスを受けられるらしかった。

ではこのまま、流れに身をまかせてもよいのだろうか…と、自分は考えていた。

頭が8つのカエル

 ――― 2010年09月5日。『頭が8つのカエル』 ―――
(これは5日前に見た夢を、不十分なメモから起こしたもの)

頭が8つのカエルを見る。どうなっているものかというと、カエルのお尻の部分を『扇のかなめ』として、その扇を広げた感じで、放射状に頭部が8つついている。

調理場らしき部屋の戸口で、見知らぬ貧相なおっさんとすれ違う。そのときに自分は、たぶん仕事のつごうで、右手に包丁を持っている。害意を感じさせてはいけないと思って、包丁の刃先を地面に向ける。

葬式かお通夜に出席する父が、喪服の代わりにこれでいいと言って、黒スケネグリジェを着ている。どうせ言っても聞かない人なので、放っておこうと考える。

ネットで知りあった人の家に遊びに行くと、その庭先で、洗たく物干しを手伝わされる。
その干し物として、別に色気も何もない大量のブリーフやショーツの類に混じって、まっ黄色なキャップが出てくる。それにふしぎと見覚えがある、自分のもののような気がする。
考えたら、自分の赤い帽子が、洗たくの過程で色が抜けて、黄色になってしまったものかという気がしてくる。

その人のお姉さんは作家で、尻切れトンボ…(←メモの意味が、自分でもよく分からない)。

やがて自分が尿意を訴えると、その家の習慣なのだろうか、30~40cm角くらいのダンボール箱をさして、その中に放尿しろと言われる。
言われてすなおに自分が始めると、この尿がまったく止まらない。縁側に面したお座敷の廊下に近いすみっこで、自分は中腰のおかしな体勢で、いつまでも箱の中に放尿している。あまりにも長いので、やがてその家の姉弟が失笑を始める。

そもそも、こんな箱の中に尿をして、下から漏れるのではなかろうか、した後の箱はどう始末するのか…といったことらも疑問だが、とにかく尿が止まらない。そこで姉が、笑いながら、『もう、臭いじゃない!』と自分をあざける。
やがて自分は、ペニスを下へと向けている自分の左手にへんなぬくもりを感じる。どうしたのかと思ってよく見たら、ペニスの中ほどに横穴が開いて、そこから漏れている尿が、手に当たっていたのだった。

これは、健康上の一大事なんじゃなかろうか…と思いつつも、ひたすら尿が止まらない。というところで自分は、もうれつな尿意を感じながら目がさめた。

2010/09/07

クラフト-エービング博士

 ――― 2009年04月27日。『クラフト-エービング博士』 ―――
以下は自分がむかし書いた堕文をあさっていたら、ふいに発見された夢の記録。

途中までを省略して、結末あたりのシーンで、弟の結婚式が行われようとしていた。その会場に集まっていた親族らは実在の人々だが、しかしかんじんの(?)弟とその花嫁が、架空の人物らだった。
自分にはじっさいに2人の弟がいるが、それとは別。夢の中で、弟の名前は≪クラフト≫、その花嫁の名前は≪エビング≫というのだった。
…まさか自分がそんなにも、クラフト-エービング博士を大尊敬(?)、してるとは気づかなかった…っ!?

(クラフト-エービングはフロイトの先パイ的な精神科医、『サディズム』・『マゾヒズム』という語の発明者)

2010/09/04

ルー・リード特集

 ――― 2010年09月4日。『ルー・リード特集』 ―――
これは『ベルギーの王さま』に続いてみた夢で、ロケーションが同じく原宿近辺になっている。そこに所在するレコード店で『ルー・リード特集』のセール中だと聞いたので、N子と2人で自分は出かけていた。
聞いた話だと、ひじょうに珍しい、誰か日本のミュージシャンとルーちゃまが共演している盤が売りに出ているはずだった。ところがめっからないので、自分はがっかりした。また、店の中でいくつか小さなイベントがあったような気もするが、それらは忘れた。

何も買わずに自分たちは店を出て、線路ぎわの道を歩いていた(気分的には、原宿と渋谷の間の道)。雨天でもないのにN子が黒い傘を持っていることに気がつき、自分はそれを指摘した。
するとN子は、くすくすと笑いながら、オレにその傘を手渡した。それから彼女が、路傍の消火栓のようなものをささっと操作すると、暖房用スチームの霧のようなものが、オレに向かってそこからブシューッと、猛烈に吹き出してきた。

『ぶほほほっ! 何をするだーッ!』

思ったほどには熱くなかったが、その霧にむせながらオレは叫んだ。それから次の瞬間、『あ、そうか。この霧を防ぐために使え、という意味か』…と考えて、自分は傘を広げようとした。

ベルギーの王さま

 ――― 2010年09月4日。『ベルギーの王さま』 ―――
どこかの出版社でライターとして使ってもらおうとして、たぶん一種の採用テストを受けていた。『いまどき紙とえんぴつで?』とは思いつつ、会議室っぽい場所の机に向かって、資料を見ながら、『統計によると、女性の66%がセクハラ被害を経験しており』…とかいう文章を書いていた。
書き終わったところで、きれいで感じのいい中年の女性編集者が、その原稿を見てくれる。そして、『文章はいいけど、書くのに時間がかかりすぎですよね』と言う。その通りだと感じて、自分は恐縮してみせる。

追ってその社からの発注だったのだろうか、自分は『ベルギーの王さま』である人物を取材におもむく。ベルギーの王さまでありながら彼は、なぜか原宿あたりにお屋敷をかまえている。そしてそのお屋敷が、御殿のような、教会のような、商業ビルのような…というふしぎな場所でもある。
で、そこでお目にかかれた『ベルギーの王さま』は、見た感じ30代くらいの茶パツの青年だった。ちょっとバタ臭い顔つきはしていたけれど、まったくふつうに日本語をあやつり、ほとんど日本人と変わらなかった。

そして自分は、そのお屋敷に存在したパイプオルガンに目をつけた。
『これは、こうやって弾くものなんですか?』
『いや、オレは弾けないし、よく知らないんだよね』

さわってもさしつかえないらしいので、自分はそのパイプオルガンをいじって気ままに音を出してみた。そして気がついたのは、鍵盤と鍵盤の間に、『ワンタッチで和音を出すための特別なキー』があることだった。
(註。それは、アコーディオンの左手側についているボタンのことだろう)

やがてパイプオルガンに対して気がすんだ自分は、『そうだ、ともかくも王さまの写真を押さえておこう』と考えた。そこで王さまを探したら、彼は近くの喫茶室で、別の客人と接見しようとしており、かつ、たばこをくわえて火をつけようとしているところだった。
『ちょっと悪いかなあ』とは思いつつも自分は、『すみません王さま、ちょっとお写真をいただけませんか?』と、声をかけた。すると気さくな王さまは、ありがたくも『ん? いいよ?』と快諾してくれた。
では、写真を撮るのに場所はどこがいいか、やはり絵になるのは、さっきのパイプオルガンを背景にしてかなあ…と考えて自分は、というところで目がさめた。

2010/08/11

竜巻で家が倒壊

 ――― 2010年08月11日。『竜巻で家が倒壊』 ―――
オレと弟2人と、あと誰か弟の友だちが、そろってオレの部屋にいた。そして、外のようすがなにかおかしいと思って、窓から見たら。真っ暗な空と暗雲の下、いくつもの巨大な竜巻がそこら中に発生していた。
まるで、映画や劇画に描かれるこの世の終わりの光景だった。けれどよく観察すると、竜巻の根もとの民家が、今のところどうもなっていないようだった。そこで、『あるいは大丈夫なのか? 過ぎるのを待っていればいいのだろうか?』、とも考えた。

うかつに外に出るのも危険そうなのでオレたちは、ひとつのベッドの布団の中に伏せて、過ぎるのを待っていた。すると、『グイン!』という振動の感じがあり、家が約45度もねじれて、また戻ったような気がした。
それでオレがもういちど窓の外を見ると、今度はだめだった。窓の外の町が、ちょうどわれわれの家のところまで、がれきもろくに残さないままの荒野になっていた。オレは望みを捨てた。何の被害もなくてすむかも、という望みを。

それからしばらく後、再び布団から顔を出すと、オレたち4人は、その荒野の上で布団をかぶって伏せていたのだった。夜が明け、空は明るくなっていた。
家の1階にいたはずの両親は、死んでしまったのだろうか。家も、家の物も、自分らの持ち物も、いっさい失われてしまった。残ったものは、せいぜい家があったところの敷地だけ。それを遺産として、兄弟3人で分け合うのか。まあいいや、何とでもなるだろう…と、自分は考えていた。

2010/07/19

手塚先生に会いに

 ――― 2010年07月19日。『手塚先生に会いに』 ―――
手塚治虫先生に会うため北海道に行く、ローカル線の車内で彼をつかまえてしばしお話を聞く、という夢をみた。何のためって、そこで自分は自主図書館の運営に参加しており、そして著作権か何かが問題になっている1つの書物について、従来通りの貸し出しが可であるかどうか、意見を聞きに行ったのだった。
事前に自分は、問題の要点を、その本の見返しの白いところにまとめて書き込んでいた。車両内で『こういうことなんですが』…とそれを見せると、手塚先生はささっとそれに目を通し、『OK』と書き込んだと同時に、自分のメモで表記が不統一な箇所にも訂正を書き込まれたのだった。

(↑の堕文は、自分がツイッターに投稿したものの転載)

2010/07/13

いやみすぎる管理人

 ――― 2010年07月13日。『いやみすぎる管理人』 ―――
弟が自分を呼びとめて、家の天井を示す。すると知らない間に雨漏りがしていたらしく、天井板が腐ってきている。
そしてその腐った天井板を突き破ろうとしているのは、すごい昔に天井裏に押し込んだまんがの本たちだ。一部の表紙が見えていて、見覚えのあるものだった。というか、『天井裏にまんが本を押し込む』なんてことをしてみたのはすごい大昔なのに(それ自体、後日処分した気がするのだが)、わりと最近の本がそこに見えているのはおかしいな、とも思いながら。

ともあれ、これはいけない、と思った自分は、いらなそうな本は処分しようと思って、そこらにあった雑誌のふろくの小冊子を捨てに行った。捨てに行った先は、どういうわけだか学校の職員室だった。あいさつもなしに入って行って、そこのごみ箱にそれを捨てようとした。すると、どういうわけだか同じ赤い表紙の本が、すでに大量に捨てられているのだった。
これは、どういうことか…と考えたがしかし、『すでに大量にあるなら、1冊くらい足してもよかろう』と思ってごみ箱に自分の分を追加し、再びあいさつもなく、職員室を出た。この間に職員たちのようすを見たりはしなかったが、『ちょっと印象悪かったかもなあ』、とは思った。

そうした後で、廊下にて、自分の勤務先の職員らしき人が、オレを呼びとめた。そしていやみっぽく薄笑いで、
『iceさん、困っちゃうなあ。いや~あ、私が言われちゃうのでね…』
と言うのだった。
どういうことかと聞いてみると、
『いやその、「人工少女3」なんてねえ…ハハ、とやかく言いたくないんですが、しかしねえ…』
と、このブルーカラーの作業着を着た男はねちねちとからんでくるのだった(「人工少女3」は、実在する3Dエッチゲーム)。それを言われたら思い当たるふしが浮上しないでもなかったので、オレはもう少し説明を求めた。

『じゃ、これを見てくださいよ』
と言って男が示したのは、廊下の壁にへばりついた配電盤のようなシャーシに、むかしの電光表示板がついている、何とも昭和チックな機械だった。それがおそらく、施設内ネットワークのサーバのようなものであるらしい。そして男が何かの操作をすると、電光表示板の文字がくるくると変わって、しまいに『人工少女3.jpg』という文字になった。

つまりこの男が指摘しているのは、オレが施設のネットを使ってその画像1枚を閲覧したことらしい。ちょくせつ思いあたるところはないが、そんなのを見たかも知れなかった。
がしかし、それっぱかしのことで…と思ってオレは、
『困っちゃうって、ほんとに困ってますか? “私が言われちゃう”って、誰があなたにそれを言いましたか?』
と、言った。要するに、小さなことをことあげして、あんたがオレにからみたいだけでしょうが…という、言表の意図は伝わったはずだ。

すると男は即ブチキレて、いきなり廻しげりっぽい攻撃を放ってきたのだった。しかしまったくスピードがなかったので、オレはそのけり脚の根っこを右のわきで受けとめ、そして体をあびせてこの小男を押さえ込んだ。ちょっとしたネットの私的利用もよくはなかろうが、こんな暴力の方がよっぽど悪い、まったくふざけたやつだ…と考えながら。

2010/07/12

夢の リアルタイム3D

 ――― 2010年07月12日。『夢の リアルタイム3D』 ―――
開発中のリアルタイム3Dエッチゲームの、テストプレイを行う。高校球児と女子マネージャーらがダッグアウトの中、2対2で何かをする場面。
するとひじょうにリアルに動いているし、なぜか土ぼこりの匂いがしてくるのもリアルだ(!)。が、視点を外側からに切り替えたら、開口部が狭くて暗いダッグアウトの中の人物らが、よく見えなくなってしまった。そこで、ズームしながらアングルを変えようとしたら…。
どういうバグなのか、視点の移動にともなって人物らの位置が、ずるずるずると動いてしまう。ダッグアウトの中の半裸と全裸の人物たちが、グラウンドらしき場所に引きずり出され、さらにはその向こうの土手の上にまで移動してしまう。
かつその結果、最初はくっついていた人物らの間の距離がやたらに大きくなってしまったのは、回転運動にともなう角運動量の何か的なことだろうか? さいしょに存在した小さな距離が、誇張された結果なのだろうか?

『これは、“こういう仕様”ではすまないだろ』…とがっかりしながら、われわれスタッフは、遠くへ運ばれてしまった“出演者”たちを回収に行く。自分は、いちばん遠くまで行ってしまった女性をエスコートして、開発している事務所に連れ戻そうとする。
するとその女性が全裸ではだしなので、廻りにも足もとにも気をつけてあげなければ、というつもりだ。しかし女性がけっこう勇敢で、はだしなのに地面の上をすたすたと歩き、土手の上から下る坂をズザザザ…と平気で降りていく。もう少しそっと歩こうよ、と、オレが声をかける。すると仲間の誰かからは、こんな声がかかる。
『足の裏に刺激を与えすぎると、甲状腺がはれるので気をつけろ!』
さらに、もう一度。
『足の裏に刺激を与えすぎると、甲状腺がはれるので気をつけろ!』

やがてわれわれは、事務所の敷地内の、植え込みに囲まれた狭い小路にまで戻ってきた。ところがわれわれの拠点はなぞめいた研究所の一角に間借りしているので、そっちの白衣のおっさんたちの目をも気にしなくてはならない。彼らは自分らもあやしげな研究をしてるくせに、みょうにわれわれを疑いの目で見ているし、立場が強いのだった。
と、思っているそばから施設の窓越しに、白衣のおっさんらがこっちを眺めているのが、妙に大きな姿で見えた。スケール的にありえない大きさの顔がチラ見えして、奇妙だと感じた。
オレは『こうやって、ぼくのかげに隠れて』と言って、女性の姿を自分の背後に隠そうとした。すると女性はいつのまにか、どこから出したのか白衣をまとっていて、『このくらい着ていれば大丈夫では』みたいなことを言うのだった。
と、そうすると、なぞの施設から白衣のおっさんらとナースらしき女性たちの一団が出て来た。向こうは誰も口をきかず一列縦隊の異様に整然とした行進で、狭い小路をわれわれとすれ違った。



と、こうして字にしてみると。裸で放り出された女性をかばってあげようかとは思っているが、せめてシャツくらい着せてあげた方が、という発想もない自分に絶望した。こんなでは、『変態という名の紳士』と言うにも足りなそう?
かつ、『甲状腺』ということばが出ているが、4年くらい前に甲状腺の病気で父が入院していたことがある。白衣や研究所のイメージは、それに関係ないものではなさげ。
なお補足しとくと、この夢の始まりのシーンは午後遅い時間で、だんだんと夕暮れになり、さいごのシーンではほぼ夜になっている。

2010/06/22

SF超特急・8bitマシーン・ネットラジオ

 ――― 2010年06月22日。『SF超特急・8bitマシーン・ネットラジオ』 ―――
【その1】 ものすごいスピードで空中を突っ走るSF未来超特急に乗っている、という夢をみた。どうしてかって起きてから考えたら、寝ているさいちゅうに流していた音楽が、クラフトワーク「ヨーロッパ急行」じゃないけど、それっぽい疾走感と未来性があるものだったからかと。
ただし、シチュエーションはそういうわけだが内容は、その超特急の窓を開けて外へ向けておしっこを(!)…とかいう、ギャグまんがっぽくもくだらなげなものではあった。
かつまた、その世界は全体がゲーム仕立てになっているようにも思えたのだが、しかし行動の仕方(コマンドの入れ方)がよく分からないのだった。まず他の人がかってにどんどん動き、それに応じて流れの中で、たま~に自分も行動できる、という感じなのだった。

【その2】 広い部屋の中にわけのわからんモニタのいっぱいあるような、超ゲームマニアのお宅へ遊びに行っている、という夢をみた。そのマニア君の顔つきが、アニメ「うる星やつら」の≪メガネ君≫、ほぼそのまま。
で、彼はどっかでみたような気のするマシーンをうれしそうに立ち上げて、『いまのキッズは、こういうのを知らんよなあ!』と、何か8bitくさいゲームを始めるのだった。その画面の映っているモニタが、ワイドタイプのブラウン管だったことが印象に残った。
で、よくはわかっていないが自分も楽しんで、『あ~あ、これはハドソン初期の名作の…』と、知ったかぶりつつ、画面に見入るのだった。

【その3】 鴨川つばめ先生の、わりと最近のインタビューを読む、という夢をみた。誰か他のまんが家の単行本の巻末のふろくに、その作家がつばめ先生に近況を聞く、というエッセイまんがが出ているのだった。
さてだ。以下はバカが夢でみた根も葉もないウソ話だということをおことわりした上で、そこに出ているつばめ先生が、大した変わり者なのだった(フィクション!)。
まず、『インターネットは便利だネ』と言いながら、何かネットラジオ的な媒体を使って、ナチスの軍歌を部屋に流している(…ご存じのように、つばめ先生の「マカロニほうれん荘」には、ナチス的イメージを流用している部分はある)。
それと、ふだんの先生は、創作にプラスしてまんが学校の講師や漫画賞の選考などの仕事をされているらしいのだが。それにあわせて…というのかどうか知らないが、とくに面識もないまんが家に手紙を出して、『ここをこうしたら、もっと面白くなるのでは?』、という提案をなされているとか。さいきんでは、畑健二郎先生に対して、そのような『提案』をなされたとか。
で、聞き手が『それで畑先生はどうしました?』と聞くと、つばめ先生はちょっと苦笑まじりに、『いや、それは返事待ちなんですけどね』と答えられるのだった。

その他、受け答えに少々とんちんかんなところが見うけられるなあ…などとも感じたが、しかしこれらはあくまでも、バカが夢にみた超ウソ話である、実在のつばめ先生にはいっさい関係ない、と再び言明しつつ。

…というインタビューを読んだ後、オレはそれが掲載された本を、自室の書棚に戻そうとした。それは(確か)、全7巻のシリーズの第6巻なので、仲間の隣りに押し込もうとした。
するとその本の裏表紙に、おかしなマークの入っていることに気がついた。よく見ると『特選ブログパーツ』とか何か、その本の内容にちょくせつ関係なさそうな宣伝用のスタンプが刷られているのだった。これはちょっと奇妙だ、と感じた。

(…さいごにどうでもいい補足だが、鴨川つばめ先生はともかくとして、その一方の畑健二郎先生という名前が夢に出てきたこと、これは意外だった。その作家と作品について、自分はほとんど何も知らないし気にしてもいない、という自覚があったので。がしかし、実はそうでもない、ということなのだろうか?)

2010/06/10

白とピンクのまだら

 ――― 2010年06月08日。『白とピンクのまだら』 ―――
母が自分に、シャコを料理してくれ、と言う。しかしそのシャコと呼ばれたものを見てみると、まず体長が1mに及ぶほど、やたらに長い。
その甲殻の色は、白とピンクのまだらできれいだ。かつその胸から頭までの部分を見ると『こういうエビがいるよなあ』と思うのだが、しかし胴体がやたらに長くて、一対の脚がいっぱいついているところは、言わばムカデみたいなのだった。
しかも、まだ生きていて動いている。自分がその動きをまねして、彼の目の前で手のひらをワシャワシャと動かすと、彼は挑撥に怒って(?)、ハサミをふり、いっそうその動き方を激しくするのだった。

で、こんなものをどうやって料理すんのかって聞いたら、適当な長さにブツ切りにして、ホットプレートで焼けばいい、と言う。そうかと思ってまな板の上に運ぶ途中、何かのひょうしで、彼のしっぽの先っぽい部分が、いきなりもげてしまう。
それをおそるおそる、ほうちょうでブツ切りにして、言われた通りにホットプレートに載せる。そこまでしてから思ったのだが、ホットプレートがホコリっぽいままで、かつ油も敷かないで、料理を始めてしまったのはどうだったかと。

だが、ともかくも加熱が進行すると、それの身からジュワ~と、透明な肉汁のようなものがしみ出してくる。『これは、料理っぽくなってきたのかな?』と、それで一瞬は思った。
ところが続いてそれの身から、『シュワシュワ…』と、スチロールの綿のようなものが出てきたのだった。カラがついたまま焼いているので、断面のところからそれが出てきた。それを吐き出した後の身の部分は、シュン、としぼんでしまった。
その現象は、何らかの化学合成されたものが熱で分解、ということを自分に思わせた。これはほんとうに、人が食べられるものなのだろうか?



【註】 文中、なぞの節足動物が仮に≪シャコ≫と呼ばれているけれど、夢の中では『シャコ』ではなかったかもしれない。『何らかのなじみある名前だったような気がするが、はっきりは思い出せない』というのが、正直なところだ。

変わりものの画学生

 ――― 2010年06月0?日。『変わりものの画学生』 ―――
厨房スタッフである自分たちが、スーパーに買出しに行く。

スーパーのスチロール・トレイの上に、なにか残菜がのっかったまま放置されていたのかもしれない。その上に、大量のうじ虫がわいている。
それからまた時間が立って、新たにヤスデのような虫がわいて、それがうじ虫らを捕食している。

何かたいへんにヘンクツな変わりものらしい画学生を、おもしろ半分に呼んでくる。
この人の名前がいきなりおかしくて、名前が「干支(えと)」であるようなことを言う。名字の方は、忘れた。
ちょっと会話した後、画学生クンは、ひとんちの本棚をかってにあさって、『お! いいもんあった』と言って、≪みつはしちかこ≫の昔の本を、もって帰ってしまおうとする。
それは別にいいか…と思った。しかし、彼が絵の道具等々を忘れて帰ろうとするので、『おーい、これを持って帰れー!』と、彼を呼び止める。

2010/05/29

腹にいちもつ 手に荷物

 ――― 2010年05月29日、朝。『腹にいちもつ 手に荷物』 ―――
自分のわき腹の右側をつかんでみると、中に大きなしこりがある。感触としたら、35mm用のフィルムケースくらいのものが。
これは、がんではなかろうか…と不安になるが、しかしわき腹のぜい肉の部分にそんなもんができるとは、聞いたことがない。

目がさめてからそこを調べたら、むろんそんなものはない。どう見ても単なるぜい肉です、本当にありがとうございました。
ただしちょっと気になるのは、そのしこりが『太短い円筒形のもの』と感じられたことで、そこに何らかの意味がないとも限らない。

2010/05/28

こぼしてしまったコーヒーは…

 ――― 2010年05月28日、朝。『こぼしてしまったコーヒーは…』 ―――
彼女の家に遊びに来てるのだが、たぶん関係は冷え切っているらしい。オレがベッドに腰かけてコーヒーを呑んでいると、彼女が『えい』と言ってじゃれついてくる。ところがそのしぐさは、おふざけにかこつけて、実はオレを攻撃しているような気がしてならないのだった。

で、そのひょうしに、オレの持っていたカップからコーヒーがこぼれて、シーツが汚れてしまう。
『何てことするんだ、これはオレの責任じゃないからな』
『え、どういうこと、責任逃れする気なの!?』

これに対する損害賠償として彼女は、オレに210円を請求したいらしい。払えないわけはないが、しかししゃくなので払いたくない。
そのように伝えると彼女は、たぶん弁護士のようなところに電話をかけて、何か相談したようだった。
『これは、じゅうぶんに請求が可能なケースらしいわよ!』
『そうかよ、じゃ、裁判所に訴えるでも何でもしたらどうだ?』

そういってオレは、不ゆかいなので帰ろうと思って、上着を着込んだ。すると彼女は、
『その上着、わたしが貸してるものじゃないの! 返してよ!』
と言うのだった。
そこで、『あ、そうか。じゃ、返す』と言ってオレはその上着を脱いで彼女に渡し、自分は別の服を着た。ところが、その服も同じく彼女からの借り物だということに気づき、『あ、これもか…』、と、苦笑まじりにつぶやいた。彼女はもはや、何も言わなかった。

それから階段を降りて玄関ホールまで出てきたら、彼女の母がそこへ現れた。何かイヤなこと言われるかも、と思ったが、
『あらあら、お構いもしませんで…』
と、おばさんはいたってふつうのことを述べているばかりだった。



目ざめてから考えると。ここで出ている彼女が『まず』N子のことだとは、はっきりしている。じっさいのところ、彼女から借りたままになっているものがひじょうに多すぎる。
けれども夢の中のイメージは、ずいぶん多くの事物が合成されたものだ。どういうことかって、お話の舞台はこぎれいでモダンな邸宅なんだけど、それは別の女の子が住んでいた家だった…等々。
そして、『シーツが汚れる→責任が生じる』ということの意味は、ごくかんたんに想像されるとおりだろう。なお『210円』は、その前々日に、療養中の母に関する用事で病院へ行って、そこで支払った料金と同じ数字。



同じ夜にみた、また別の夢。

前の晩、カレー作りたい…と思いながらもついつい寝てしまった。するとその後、家のキッチンで『母がジャガイモの皮をむいている』、という夢をみた。

かくて、夢の中でさえも、ひとに仕事を押しつけている自分がいる。

2010/05/21

ロス・マクドナルド作品の新訳版?

 ――― 2010年05月21日、朝。『ロス・マクドナルド作品の新訳版?』 ―――
『リアンFFT』の夢(*)をみたあと、再び布団に入ったら、『気分的には続いてるんだが、あまり関係のない展開』という夢をみた。

自分が女性の部屋でウダウダしていると、そこをその女性の父親に急襲されてしまう。別に大した取り込み中ではなかったが、公認の仲というわけでもないので、あわてていずまいを整える。
その父親がちゃぶ台に向かっていて、自分は部屋のすみっこから、彼の背中を見ている。するとその父親は、何と三船敏郎その人だと分かる。『え? ありえない感じだが』と思ったところで彼が振り向くと、誰へのおみやげなのか、ブリスターパックの野球のボールをこちらに見せる。
そこらで視界のはしっこに、自分か彼女の弟たちが見えたような気もする。彼らへのおみやげかもしれない。それは、長嶋茂雄のサインボールらしい。よく見るとその父親は、星一徹のようにも思えてくる。

それこれ、ナンセンスではないか…と思ってその部屋を出て、自分はふらりと近所の古書店に入った(実在はしない店)。そしていつもの行動として、1冊100円とかのバーゲン品の棚からチェキる。
するとそのラック、文庫や新書が前後二重に詰め込まれてるので見づらいが、でも何かいいものが掘り出せそうな予感。ふと目についたのは、どこかのお店の銀色の包装紙でカバーされたままの、厚めの文庫本。そのカバーに見おぼえがあって、『これは自分がむかし持っていた本ではなかろうか?』とは思いながら、それを手にとる。

するとそれは創元推理文庫の、ロス・マクドナルド「こわくて」とか題された、長編小説の訳本だった(訳題の記憶は、正確でないかも)。そんな題名の作品は知らないが、ロスマクは故人なのでその新作はありえず、しかもその未訳の長編などは存在しないはず。
するとこれは、「さむけ」の改題版なのではなかろうか…とも思ったが、それは違うらしい(この夢の中での認識として、創元から「さむけ」の訳本は別に出ている)。そこで考えたら、他にロスマクの長編で、本の厚みでこれに匹敵するものは、「ウィチャリー家の女」と「眠れる美女」だけだ。

で、どっちかと言ったら、これは「ウィチャリー」の改題版である感じがする…などと頭では考えながら、自分は目の前の棚をチェキし続けていた。何であれ、そのロスマクの本を買うことは決めていた。どうせ100円かそこらだし。
で、また目についたのは、本が二重に詰め込まれて見えにくい奥の方に、何か心をそそるような題名の官能小説(らしいもの)の何冊か。ところがいっぺんそれを見失ってしまうと、なぜだか見つからない。いらだち気味に、手前の本をあちこちへ移動しても、それが出てこない。

というところで、さっきから自分と同じように、バーゲン品の棚に張り付いている男に気がついた。かなり若い少年で、ひょっとした中学生かもしれず、頭はリーゼント、服装は上下揃いのジャージという、むかしいたようなツッパリ君だ。別に兇暴そうには見えなかったので、あまり気にしていなかった。
別に読書家にも見えない彼は、さっきから何を熱心にさがしているのだろうか、先週の少年ジャンプを買い逃したのでとか、そんなとこかなあ…と思っていたら。ふと彼がこっちを向いて、『あなた、iceさんでしょ?』と、いきなりオレの名前を言ったのだった。

『あ、まあ、そうですけど』と答えたら、『わりいけど、あんたの父さん、ここへ呼んできてくんねかな?』と、ふしぎなことをを彼はオレに命じてくるのだった。
その命令が、そんなに高圧的な言われ方でもなかったのに、なぜか逆らえない気がして、『あ、じゃ、ちょっと待ってて』と言って自分は店を出た。買い物もすませないままに。
それから路上で、『やるにしたってめんどうだしやっかいだし、そもそもなぜこんなお指図を聞いちゃうはめになったんだろ? そもそもうちの父に、何の用が?』…などと考えているところで目がさめた。



目がさめてから考えたら、なぞのツッパリ少年(のモデル)は、オレの中学の時の実在の同級生、若林くん以外でない。
当時、こういうことがあった。オレらどうでもいいような中坊が下校しようと校門を出たところで、他校のツッパリ君たちに呼び止められ、『オメーら、若林を知ってんだろ? ココへ呼んでこいよ』と命令されてしまったのだった。

で、相手の人相が怖いので、うかつに『はい』と言ってしまったわれわれは、教室へ戻って若林くんにその話を告げた。すると彼は『うわー、まいったな!』と言い、他校のツッパリ君には会いたくないようなのだった。
『おまいらもさぁ、ちょっと機転きかせよ。“若林なんてヤツは知らない”って言っとけば、それですんだことじゃん?』
まったくその通りだが、『ツッパリ同志で仲良しなのかも』、とも思ったんだよなあ…。まるで加瀬あつし大先生のおまんが作品に出てきそうな、ローカルなツッパリ同士のいざこざと、それに巻き込まれたオレらではあった。ちゃんとそういうまんが作品で予習しとけばよかったのに(?)、オレらはムダによい子で無意味に正直すぎた。

そしてこの問題、さいごはどのように落着したのか、はっきりは憶えてない。けっきょくのところ、われわれはシカトして裏口から帰っちゃったような気もするし(!?)。またはそうじゃなく、他校クンたちのところへ戻って、『若林くんは、もう下校しちゃってました!』と偽りを報告したような気もする。たぶん、後者の線が濃い。
で、このエピソードが変形されて、さきの夢のオチになっている気がするのだった。

Dr.リアン で FFタクティクス

 ――― 2010年05月21日、早朝。『Dr.リアン で FFタクティクス』 ―――
寝る前にパソコンで、「ファイナルファンタジータクティクス」(FFT)のやりこみサイトを眺めていた。それから布団に入ってしばし、竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」を読み返していた。
すると寝入ってから、「リアン」のキャラクターが出演のFFTをプレイ、という夢を見たのだった。とは、なんだかひじょうに単細胞っぽくて恥ずかしい気がするが、ともあれご報告。

画面上のユニットは自軍が3匹、ナオト君(ラムザ君に相当)、リアン、美果。敵軍は2匹、そのジョブは不明。見え方はだいたいFFTで、自分は画面の外側で操作している。
ゲーム開始、まず敵の女性ユニットがさいしょに動き、美果が攻撃を喰らう。約80ダメージで、たぶん残りHPが100くらい。
どうして美果が…って、位置関係のせいもあろうけど、やはりムカつくキャラクターなので、原作どおりにここでもヤラレ役ってわけかなあ、と、プレーヤーの自分は考えていた。

で、次はリアンの番。何しろ『Dr.』リアンだけに、ここでも彼女は白魔役らしかったのだが『しかし』、美果を回復させたりはしない。原作のキャラクターに忠実に、何か関係ないことをしてターンを終わる(!)。
するとどうもこのゲーム、自軍と言ってもプレーヤーが操作できるのは、主人公役のナオト君だけらしいのだった。

次にそのナオト君は、たぶんモンクの『波動撃』みたいな技で、移動もせずして三歩くらい先の敵に約100ダメージ。しかし、まだ敵は倒れない。もう1発が必要なもよう。
そこらでざっと計算すると、リアンがまったく役に立たないとして、美果本人が何かまともな行動をしてくれなければ、集中攻撃を受けて戦闘不能になってしまいそう。でも別に死ぬわけじゃないし、さっさと勝っちゃえばいいか(!)、とも考えたが。しかし、いくら美果でもちょっとかわいそうなので、何とか全員が立っている状態で面クリアできないかなあ…と思案しているところで目がさめた。

そして起きてから考えたこと、『くのいちのもみじが、そのまんま忍者役で出演してくれていたら、大楽勝だったろうに!』。けれどもそうなっていなかった理由は、次のあたりだろうか。

1) そこまでも楽勝必至のマップが、FFTには存在しない。そんなあんまりなリアリティのなさが、夢にしたって否定されたのかも。
2) 自分の知力では、頭の中にあまり複雑な局面のマップを描けない。5ユニットの登場くらいが限界なのかも。
3) 意外ともみじの存在感が、自分の中にないのかも。意識的にはもみじを大好きなつもりでいるのだが、自分の無意識の把握として「リアン」は、『ナオト - 美果 - リアン』の三角関係の物語なのかもしれない。まあじっさい、そうだろうし。

2010/05/18

シルクハットをかぶった黒ネコ

 ――― 2010年05月18日、朝。『シルクハットをかぶった黒ネコ』 ―――
近ごろ自分の友人の言動がおかしいので、精神科で診てもらおう、ということになったらしい。それで自分たちは、ミッション系の施設を訪れていた。

それは、病院と女子校とが一体になった施設らしかった。われわれを迎えた医者とナースは、『空き教室』と言えそうな場所で、友人に問診を行った。その間にも他の教室では、ふつうに授業が行われていた。臨時の対応だったかもしれないが、やや奇妙には感じた。
われわれ一行は廊下に立って、その診察のようすをうかがっていた。一行とは、自分、自分の母と、そして1人の女の子だ。この子が誰ということは分からないが、いとこでなければ妹のようなふんいきで、異性という感じがしなかった。

で、問診のようすはどうだったかというと…。

医師『ゆうべあなたはiceさんと一緒に出かけたそうですが、どちらまで行かれました?』
友人『みそ』
医師『お出かけされたのは、何時ごろのことでした?』
友人『うなぎ』

実は、答の部分が思い出せないので、いまてきとうに補っている。が、ともかくもぜんぜん脈絡のないおかしなことを、彼はまじめに答えているらしかった。

これは完全におかしいとしか思えない、ああ、オレの友が、芸術の分かる知的な友人だった彼が、こんなふうになってしまうなんて、まるでギャグまんがのキャラクターのような、こっけいきわまる突飛なことを言っている、それというのもひょっとしたら、オレがギャグまんがを好きすぎるせいなのか、いやまさか…!?
そのように自分の想いは衝撃に乱れて、号泣したいような、大爆笑したいような、わけのわからぬ強い衝動に見舞われたのだが。けれども場所がらや連れたちの手前をはばかって、かろうじて平静をよそおったのだった。

そうしてそっこうで入院が決まったらしくて、われわれは廊下の端っこの狭い物置きのような部屋で、何か次の手続きを待っていた。扉が開きっぱなしだったので、そこから近くの教室のようすがちらちらと見えていた。
すると、女生徒たちも多少は好奇心をもって、こちらのようすをちらちらと気にしているようだった。するとやはり、このフロアに患者やその家族が来るのは、珍しいことかのようだった。

やがて、ふと見ると、いちばん近くのクラスは体育の時間になったらしく、生徒たちは体操着に着替え終わっていた。ふーん、体育か、と思って手持ちぶさたな自分が、こっちの部屋の中をふと見ると、余った机が積み上げられているところに、誰かずぼらな生徒がくつ下を、そこに脱ぎ捨てているのだった。
そこで『女子高生のくつ下』、という語感にびみょうないやらしさはあるよなあ、と思ったが。しかし自分がそのくつ下を見ている限り、別にいやらしさなどは感じられなかった。

そしてまたふと見ると、意外なことだが自分らの連れの女の子が、なぜか生徒らと同じ体操着に着替え終わっているのだった。そしていそいそと、『さあ運動するぞ』とでもいうような、はりきり気味の表情をしていた。
それはおかしい、あんたここの生徒じゃないじゃん、とツッコみたい気持ちになった。けれどもそこで、母が『待たされすぎだから』と言い出したようで、そして自分と母は、患者の様子を聞くためにそこを離れた。

この建物は、教室が南側で廊下が北側にあるものとして、われわれが西の端っこの物置き部屋を出て、廊下をしばし歩くとすぐに、やや広い踊り場のような場所に出た。そこから、上下の階に向かう階段が見えていた。そこが建物の東西の中心で、ここを境に東側は、病院の施設になっているらしかった。

その踊り場を、ナース兼シスターのような制服の女性たちが何人か、忙しげに歩いていた。その中には(ふしぎだが)、別の場所で見知った顔もあった。
しかし誰がこの件にかかわっているのか分からないので、自分はまったくのあてずっぽうに1人の職員をさして、『あの人に聞いてみれば?』と言った。そこで母がそうすると、ともかくも対応してくれたようで、彼女らは1つの部屋へと入って行った。

そうして残された自分がふと見ると、踊り場の壁には大きな絵がかかっていた。その画面はやたら黒っぽくこんとんとして、何が描かれたものか、よく分からなかった。すると、どこからともなくそれの説明が、頭の中に流れ込んできた。
いわく、これは100年ほど前のフランスで描かれた、一種のだまし絵である。数回にわたって異なる絵柄が描き込まれているので、場合によって見え方が異なる。まずさいしょに絶世の美女の肖像画が描かれ、追ってその上から、その美女の老いた姿や、また妖怪に変化した姿などが描き重ねられている。その訴えるテーマ性は、人間の命や美貌のはかなさである。

へえ…と思って見ていると、やがてその、やたら黒っぽいとしか思えなかった画面がはっきりと、シルクハットをかぶった黒ネコが、きれいな瞳を輝かせながら、あたかもモナリザのようなポーズで美女を気取っている、そのような絵図に変化したのだった。じっさいよりもはるかに大きな姿のその黒ネコが、額ぶちの内側で、まるで実写のようにリアルに見えていた。
そしてその黒ネコは自分へと向けて、女性の声で語りかけたのだった。

『あたしは、“Mort aux vaches”よ。そんな目で、見ないでくださらない? ウフフ』

これはふしぎだ…と思っていると、自分の頭の中で、このだまし絵のメカニズムを解説する、テレビの教養バラエティ番組のようなものが始まったのだった。
いわく、このトリックは、合成樹脂を加熱すると変色する、その現象を利用しているのである。たとえば、調味料のビンをガス台の近くに置いておくと、意外に熱が伝わった結果、樹脂製のラベルから色が抜けたりする、あのような現象。
といったナレーションがありつつ、その番組は、側面が溶けかけたS&Bの調味料のビンを、大映しにするのだった。へえ…と自分は思ったが、しかしいつまでも同じような、溶けかけのビンのあれこれが映っているので、『中身の乏しい説明が、ずいぶんくどくはないだろうか?』と感じるにいたった。



【補足】 自分のための憶え書き、煩雑なもの、いくつか。

4月30日に自分の母が交通事故に遭い、追って現在まで、千駄木の日医大病院に入院している。自分はそれで、何度も付き添いや見舞いで病院を訪れている。まずその印象が、この夢のベースにありげ。
夢の中でおかしくなってしまった友人は、大学のころにじっさい、そのようなできごとがあった。斎藤茂太のいた病院に、かなり長く入院していた。彼は自分の父親の、もとの同僚の息子だった。何度か自分の家を訪れていて、うちの家族が知る存在だった。

自分が睡眠するとき、いつもアンビエントっぽい音楽を小さな音で、BGMに鳴らしている。CDからパソコンに取り込んだMP3で、長いプレイリストを作ってリピート再生させている。そして目がさめたときには、細野晴臣「銀河鉄道の夜 OST」が鳴っているところだった。『友人との別れ』というモチーフは、それから連想されたものでないとも限らない。

『女子高生のくつ下、体操着』といったモチーフらが登場する。夢の中で自分は、『こういうものをいやらしい記号と考えられなくもないが、しかし現在の自分にはぐっと来ない』、と感じていた。
むしろ自分は、ナース兼シスターの制服の方に、ちょっと来るものを感じていた。なお、この制服のイメージの元ネタは、むかし好きだったPS用ゲーム「ファイナルファンタジータクティクス」かと自覚する。

そしてその『ナース兼シスター』たちの中に見つけた顔見知りは、自分の以前の同僚の、もう60歳近くの太ったおばさまだった。その愛用していた白っぽいターバンが、シスターのかぶりものと重なるイメージになっていた。
この女性、もとは美人だったようなふんいきはあったが…。にしても、その人となりがずぼらで独断的で、自分のペースを他人に押しつけすぎ、かつ仕事ぶりが気まぐれなので、自分とは仲がまったくよくなかった。追って出る『美貌のはかなさ』というモチーフは、そのおばさまに関連したことかもしれない。

とまで考えたら思い出すのだが、『女子高生が脱ぎ捨てたくつ下』というモチーフ。これは通学用のソックスというものでなく、白地に赤っぽいもようのショートソックスで、けっこうはき古されており、いたって日常的なものに見えていた。
で、筆者がある施設に勤めていたころ、女性の同僚たちの洗たく物として、よくそんなのを洗ったり干していたりしたのだった。そこから来ているものとすれば、どうりでつまらなく感じられたわけだ。

そして、黒ネコが、たぶん自分の名前として言う“Mort aux vaches”ということば。このフランス語の発音はどうなのか、自分にははっきりとは分からない。しかし夢の中の黒ネコは、それを正しく発音していると思った。それで何か、『こいつは本物だ』という気がしたのだった。
この“Mort aux vaches”という語は、ベルギーのレコード会社が出している、多数のアーティストが参加した、実験的なポップスの競作シリーズ名だ。それを自分は以前から気にかけているのだが、その語の読み方も『モール・オ・ヴァシェ、かなあ?』くらいにしか分からず、その意味も『~の死?』、くらいにしか分からなかった。いま調べたらそれは、『牛のための死者』と直訳できることばらしかった。

2010/05/03

4等身にデフォルメ / イヤミ氏ばりの出っ歯

 ――― 2010年5月3日、早朝。『4等身にデフォルメ / イヤミ氏ばりの出っ歯』―――
浦和レッズの人気が低下しつつあるさなかに、熱心なレッズサポーターの友人がそれ関係の番組のプランを立てたという。それをラジオ局にプレゼンしに行くので、自分も同行する。
いかにも『編成部』という感じの地味な事務所にて、プロデューサー(かディレクター)の机の前に椅子を集めて、われわれは座った。そして40前くらいの年齢の、太り気味でエネルギッシュな感じのプロデューサーは、彼もまたレッズのファンではあるので、友人が話すのをひじょうに熱心に聞いてくれた。
しかし見通しは思わしくないらしく、話が一段落しても、彼の表情は晴れない。そして、企画に対して第三者的な立場のオレに対して、『あなた、これ、いけそうに思えますか?』と、意見を聞いてくる。
自分は、『はい』とは言えなかった。ふと見ると、デスクの正面にレッズ関係の現行の番組の聴取率の表がはってある。それがたいそう、よくない数字らしかった。

話が飛んで、たぶんそこからの帰り道、1人で歩いていた自分は、以前の職場で同僚だった女性と男性を、路上に見かける。2人は夫婦で、女性のほうはベビーカーを押している。そしてそれぞれ別の用があって、その場で別行動に進むところだった。背後から近づいたので、さいしょ向こうは気づいていなかったと思う。
さて自分は、この2人のうちの女性に対してはきっっぱりと悪感情があり、男性に対してはわりと好感をもっていた。そこでまず、女性が横の道に進むのをやりすごした。ほんとうは気づいて無視したのかも知れないが、女性はみょうに上きげんそうにベビーカーを押しながら、オレの方を見ぬままどこかへと去った。その姿は、まんがのキャラクターのように4等身くらいにデフォルメされ、しかも陽炎の中のイメージのようにゆらめいて見えていた。

と、女性がいなくなったので、自分は男性の方に近づいて、『や~、久しぶり!』と、声をかけた。そしてふつうに、お互いと共通の知人らの近況などを報告しあった。しかし彼は、オレとさっきの女性との仲が悪かったのをよく知っているので、彼女のことは話題にのぼらせないのだった(もちろんオレも言い出さない)。
そこへ、われわれ2人の前に、こっけいな出っ歯(イヤミ氏のような)の呼び込みが現れ、『いや~お兄さん方、どうでげすか?』などと、呼び込みがかかる。足立区の場末の、まだ早い夕方なのに、こんなのは珍しいな…と思ってよく見たら、ハデなプラカードを持った呼び込み氏は、自分の学校の後輩で、よく知っている人物だ。
『あれ~、君は!』、『あなたは!』と、オレたちは予期せぬ再会を喜びあった。だがオレは、自分もまったく出世なんかしてないくせに、そして昔からこの後輩くんがお調子者だったとは言え、彼がおかしな出っ歯の呼び込みに身を落としているのは、ちと残念な気がしていた。
そしてかっての同僚に対して、かっての後輩を軽~く紹介しようかとしたところで、自分は目がさめた。

【補足】 上記の登場人物は、ラジオ局員以外は実在の知人。ただしすべて、びみょうに設定が変わっている中で特に、夫婦とある人物らがまったく夫婦でないというのは、ずいぶんと大きな作りごとになっている。
またこれらに先立って、もっと早い時間に、SFファンタジー的な設定の夢を見ていた気がする。そこで自分たちは、合体によって進化する動物だった。しかし、現在の状況に対応した進化が、思ったようにはできない。ゆえに、別種族からの迫害を押し返せない、という種族の苦しみに遭っていた。というイメージは、永井豪の「デビルマン」や「魔王ダンテ」らに関係あることかもしれない。

2010/04/30

弟とベッドイン?

 ――― 2010年4月30日、朝。『弟とベッドイン?』―――
へとへとに疲れて帰宅して、そそくさと夕飯を喰った後、さっさと寝てしまおうと思って自室へ向かう。そうすると階段の踊り場に、弟が自分の荷物を散らかしたままにしている。その辺にいるんだろうと思って、『うおーい、ちょっとはかたしとけよー!』と声をかける。
で、自室の扉を開けると、なんとその弟が、オレの布団の中で眠っている。しかもオレが後から入れそうな感じに、寝床の向かって右半分をあけているのが、みょうに意味不明で気持ちが悪い。

『あ、こら、どうしてオレのとこで寝てんだ!』
と声をかけてみるも、弟もまた疲れきって熟睡しているらしくて、起きそうなようすがない。ちょっとかわいそうな感じだし、しょうがないか…とも思うが。けれどもそんな布団に後からもぐり込んで、よく眠れなそうな感じだし、疲れているのでいやだなあ、と考える。

それからつながりが分からないが、自分は8個くらいの机が並ばった事務所という感じの場所で、電話を受けたり筆記をとったりしている。隣りで同じことをしている男と、共通の文具を使っている。
ところがこいつがケチくさくて、『オレのえんぴつ、使わないでほしいんだけど!』などと言ってくる。しかし、どれがどっちのえんぴつだか、自分には分からない。どれも見おぼえはないけど、彼のものという気もしない。
それらのえんぴつは、長さがまちまちで、ひじょうに短く使い込まれたものもありつつ、どれもナイフで神経質に、やたらきれいに削られている。それらを見て自分は隣りの男に、『数は足りてんだから、ケチくせーこと言うな!』と言う。すると相手は、それきり文句は言ってこなくなる。

で、手元の書類だか資料だかを見ていると、この隣りの男はまんがの研究家で、ちょっと一目おかれている人物らしいと分かる。題して『チャンピオン7人衆』という、計7人の仲間によって、少年チャンピオン研究の同人誌を出したのだとか。ところがその同人誌の続刊は『チャンピオン5人衆』という題名になっていて、その間に同人が2名、脱落してしまったらしい。
というところに自分宛てに電話がかかってきて、受けると、中年の婦人がこんなことを言う。
『太田の母でございますが、なにぶんにもうちのは女の子でございますから、父の方が心配いたしましてねぇ。ええ、オホホホ。
ところでなんですが、聞いてみましたらケラ(?)は劇団活動再開について、いつか必ず、と申しておりましたのよ! まあほんとうに、ウフフフ』
…太田という人に、まったく心当たりがない。ケラって有頂天のあの人かもしれないが、そんなことに関心をもった覚えがない。ところが相手は、特ダネっぽい情報をオレに提供しているつもりっぽい。
ともあれ自分は調子を合わせて、『なるほど、わかりました、そういうことですか』くらいに応答して、いちおう話をメモした上で電話を切った。

【補足】 目ざめてから考えてみたら≪太田≫という名前は、ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー」のキャラクターから出てきたものかも知れない。ちょうどその前の日に、読み返していたので。

2010/04/28

“ハレンチ学園” の 運動会

 ――― 2010年4月28日、朝。『“ハレンチ学園” の 運動会』―――
ハレンチっぽい学園の運動会が河川敷で催行されるので、写真係をつとめてくれと、誰かに頼まれたようだ。土手の上から借り物の、大げさな一眼レフを構えて被写体を探す。
土手の上からだと距離がありすぎで、手元のズームレンズでは足りないのではないかと考えた。それに日暮れ近くの時間なので、露出も心配だ。そうして自分がファインダーをのぞいていると、ふいに視界がなくなる。
誰かがふざけて、レンズの前を手でふさいでいるようだ。『きゃっきゃっ』とはしゃいでいる声と、時おりふれる身体の感じからすると、たぶん中学生くらいの女の子ら2~3人がそれをやっている気配。『ちょっと、じゃますんなよな!』と、自分は苦情を申し立てる。

それにしても、催しっぽいことがないじゃないか…と思ってあたりを見廻していたら、河川敷ではなく土手側に、イベントが発生していた。土手のてっぺんの小道を、すっぱだかの女の子たちが5~6人、でんぐり返しをしながらごろごろと進んでいるのだった。振り向いた自分の側から見て、右から左の方向へ(荒川土手の北側にいたとして、進行方向は下流→上流)。
自分はあわててシャッターを切りまくったが、5~6枚も撮ったというところで、でんぐり返しの少女たちの列は、人波と夕闇の中へ消えてしまった。

【註】 これは、もっともっと長い夢の中の断片。その他の部分は内容がストレートすぎて、こんなところには書けない。
なお、登場する一眼レフは母方の叔父の所有物で、親戚間のイベントの時にじっさいに自分が撮影に使うもの。これがソニーのデジタルなんだが本当に大げさで威圧的なメカで、持って歩いているだけで職質されそうな悪寒。

2010/04/27

イヨ と イクエ

 ――― 2010年4月27日、早朝。『イヨ と イクエ』―――
深夜テレビのトーク番組に、榊原イクエと松本イヨが出ている。司会者が、『イヨさんはどういう人ですか?』と問うとイクエは、『乳首がいっぱいあるどうぶつみたい』と、おかしなことを言う。
何でかというと、イヨが背中にひっついてきたときに、そのやせた身体のろっ骨のかどっこの当たる感じが、『たくさんの乳首』と思えるのだそうだ。

2010/04/26

弓の試合のお嬢さま

 ――― 2010年4月26日、夜。『弓の試合のお嬢さま』―――
弓部の対抗戦が行われるのを、自分は眺めている。まんがの本に描かれたそれを、見ているような感じもある。
その試合は『クロスカントリー+射撃』といった感じで、選手らは歩きながらあちこちに設置された標的らを射て進む、というものらしい。ただしその会場は室内で、体育館くらいの広さの場所でなされている。
ところがだ、試合のプレッシャーに耐えられなくなったらしくて、1人の選手のようすがおかしくなってしまう。それは気位の高そうなお嬢さまで、学校のセーラー服で試合に臨んでいる。
そして標的の真ん前に立って、『ようは、ここに矢が当たっていればいいんでしょう? かんたんじゃない』と言って彼女は、標的自体に対して、手で直に工作を始めるのだった。

その標的、同心円の描かれたパネルに対して、まず彼女は、ゴルフのマーカー(グリーン上で使うもの)のようなものをつき立てる。そのマーカーは、矢が命中した印として使われるものらしい。それから彼女はパネルの中に手を突っ込んで、その内側に詰まっているものを、手でぐいぐいとかき出してしまう。
この競技で使われる標的は、全体にはアーケードゲームの台みたいな感じで、そのパネルの部分に矢を当てるようになっているのだが。そうして彼女がパネルの表面をはがしてしまうと、その内側にはオレンジ色の、ねんどともババロアともつかないものが詰まっているのだった。射られた矢をソフトに受けとめるために、やわらかいものが詰まっているのだろうか。それを彼女が外側へかき出していくと、木製のパネルの内張りがそこに見えてくる。
そこらで審判たちが、反則というにも大胆すぎな、彼女の行為に気づく。そこでそろいのシャツを着た若い男女の係員らが、彼女に近づき何か話しかける。そして女性の係が『ね、わたしと、あちらへ行きましょう』と少女に告げて、彼女をどこかへと連れて行く。カウンセラーか精神科のナースか何かなのか、慣れた態度だな…と感じる。少女は『どうしてよ~』と口では反抗的なことを言うが、強くは逆らわない。

ここで場面が変わって、自分は家の洗たく物、母のくつ下などを、タンスに戻そうとしている。その大きなタンスをよく見ていると、なかなか整理されており、母のものと父のものがきれいに別れて収まっているのだが、しかし新たにものを入れるスペースがない。どうしょうもない。そこで自分は腹立ち半分で、開けた引き出しの上にそれを載せて、整理をすませた気になる。
それから視点が弓の試合に戻ると、さきのお嬢さまがあっさりと競技に戻っていて、そしてまた、別の標的に向かって、似たような不正をはたらいている。さっきは気の毒だと思ったが、こんどは見ていてちょっと呆れてしまう。そういえば、ここまで見てきた弓の試合は、洋弓なのか和弓なのか、と考えたが、それは分からない。

2010/04/23

アダルトビデオと太タイヤ

 ――― 2010年4月13日、朝。『アダルトビデオと太タイヤ』―――
アダルトビデオの撮影のお手伝いということで、1日アルバイトすることに。ところが、起きられない自分。誰かメガネの女性が、わざわざ迎えに来てくれる。
ともかくも着替えようとするのだが、てきとうなTシャツすらが見つからない。大むかしに着ていた薄っぺらなトレーナーみたいなものを見つけ、『これでいいか』と着込んだのだが、メガネの女性が『ちょっと待って!』という。そこでよく見ると、肩の縫い目のところがほつれて小さな穴が開いている。
ではと、代わりに真っ黒なTシャツを見つける。これがアメリカ製のフリーサイズで、オレの身体に対してサイズが大きい。で、やっぱりメガネの女性は『う~ん』と、懐疑的っぽい態度。

そこらでめんどうくさくなって、自分は再び寝てしまったらしい。次に気がつくと朝の9時10分で、『いくら何でもやばい!』と感じ、飛び起きる。
そこへもう1人、事務所の社長で、もう1人のメガネ女性がクルマで迎えに来てくれる。自分はとにかく乗り込む。車中で女社長は、オレをたしなめるように、『あなた、高田馬場の488でも見てきたら?』と言う(“488”という数字ではなかったかも。“4xx”は確か)。

何のことかというと、高田馬場のマンションの1室がスタジオで、そこでビデオの撮影が行われているのだ。そこで急になぜなのか、見えている映像が、らくがきっぽくデフォルメされたものになる。
そのビデオの主演の男優(けっこういい男)は、何と日給3千円で雇われているということで、オレのその日のバイト代よりも安い。そしてその他大勢の出演者たちは、ニートでオタクの人たちが駆り出されており、さらに薄給であるとか。
で、その状況を見て、もっとまじめに働くようにと、女社長はオレに言いたいのかなと、そこで考えた。

ところでそのうちにクルマが故障してしまい、オレも参加してそれを修理しようとすることになる。そもそも、こんなことのために雇われたのか、ということが分からないが。
で、そのクルマというのがやたらに大きくて、タイヤの直径がオレの身長よりも高い。故障は、足回りに生じているらしい。サスペンションとか。
タイヤの固定されているところがゆるんでいるのかと思ってオレは、タイヤの接地面あたりのボルトとナットを締める(もちろん、現実のタイヤにそんなネジはない)。
なのだが、オレが作業している最中なのに、そのタイヤがくる~と動くのでひじょうに気分が悪い。遊園地の遊具に乗っているように、体が上がったり下がったりする。そんなにも差し迫った危険を感じてはいないけど、『おいおい、かんべんしてくれよ』と思う。

2010/04/22

銀色の小さな三日月

 ――― 2010年4月13日、朝。『銀色の小さな三日月』―――
浦和レッズはアジアチャンピオンズリーグか何か、はえある国際大会を闘っている。その試合の後、おそらくは浦和の市街にて。
路上にたくさん、いろいろなものが散乱している。たぶん、試合中の応援に使用したものだ。本当なら、拾い集めて誰かに返さなければならないらしい。
拾ってみると、手のひらサイズの銀色の三日月を縫った超小型のクッションがある。『手芸品』という感じ。ヒモが出ているので、ケータイのストラップにも使えそう。いや別に要らないようなものなんだけど、なんとなく心ひかれて、ガメてしまおうと思う。そう決めてしまうと自分は、他にもいろんなものを拾って抱え込む。
そこへ、レッズサポーターの女の子たちとすれ違う。彼女たちは、白い半透明の輪をたくさん拾い集めている。むりにでも形容すれば、氷砂糖のような色のドーナツ盤、という感じのものを。
だが、自分と違って彼女たちは、拾い集めたものをちゃんとした相手に返すつもりなのだろう。そう考えて、心がとがめる。

万事きゅうす

 ――― 2010年4月22日、朝。『万事きゅうす』―――
自分が何らかのおもしろジョークを言うと母が笑いころげる。そのひょうしに、お茶をいれようとしていた母の手からきゅうすが落っこちて、先っぽが折れてしまう。
(このきゅうすはじっさいに持っていたもので、2002年くらいに下北沢で1000円くらいで買った、白青の配色の中華風のやつ。いまどこにあるのだろう?)

2010/04/13

アダプターをさがす

 ――― 2009年5月31日。『アダプターをさがす』―――
おそらくは、船の上でのこと。犬か子どもが、自分に必要な道具を持っていってしまったので、人々にも呼びかけてそれを探す。その道具とはどんなものかというと、配線を中継するためのアダプターで。その片方にはMIDIのIN/OUTの端子があり、もう片方はフォーンプラグになっている…という、よく考えたらありえないシロモノである。

男のミルク

 ――― 2009年5月30日。『男のミルク』―――
オトコの乳房からも母乳ッぽぃ液が出る場合がある…と風聞したので自分の乳を搾ってみると、はたして母乳らしきモノが出てくる。その母乳らしき液に混じって空気が出てくるので、搾っていると『ブゴッ、ブグッ』とゆうコッケイな音がする。かなり強いチカラで搾り出してみるのだが、意外と痛みはない。
その液をボウルに受けて、チョイと味をみてみる…すると。まさか美味でもなかろうとは思っていたが、まったく何ンとも言えない味である。

2010/04/11

仕切りのあるベッド

 ――― 2009年3月29日、昼。『仕切りのあるベッド』―――
自分がもっと若い頃かのような設定で、わりに多人数の若者たちと一緒に、アパートの1室に泊まることになったようだ。
そして夜中だが、皆がそこからどこかへ出かけるようだったので、自分もその部屋をいったん出る。しかし、何かの気がかりを感じて元の部屋に戻る。玄関のカギは、かかっていなかった。
そうするとN子がベッドの上で、からだの上下を2人の男の間に挟まれて、セックスをしているのだった。

オレに気づくと上になっていた男がからだを離した。そーすると、N子の腹の上には座ブトンが乗っていて、その座ブトンの上に、体液らしいモノが飛び散っていた。『N子があまりにヤセているので、そのようなクッションが必要だったのか?』…と、自分は考えた。
そして男ら2人がどこかへと離れたので(同じ室内にいるような気がしたが)、オレは寝るために、彼らのあれしていたベッドへともぐり込んだ。
そしてそのベッドがおかしいしろもので、その真ん中にたてに長く、仕切りの板のようなモノが突き出している。N子とオレとは、その左右に横になる。N子は非難のような不満のような目で、オレを見ている。

モーツァルト

 ――― 2009年1月1日、早朝。『モーツァルト』―――
自分はオペラに出演している、演目はモーツァルトか何か、場面は男性同士の2重唱。
しかし。メインの歌手2人は舞台のあっち側で芝居をしていて、自分はその一方の役(受けの役)の歌と演技を、舞台のこっち側でまねしているのだった。こういうことを、ダブルキャストと呼ぶのかな(!?)…とは思った。
そしてそのうち場面は佳境に達し、あっちの2人は下半身の服を脱いで、男性同士のセックスを始めたのだった。そうして自分は『受け』の役なので、服は脱がないまでも、そのポーズをまねしつつ芝居を続けるのだった。

水塊が押し寄せる

 ――― 2008年10月?日。『水塊が押し寄せる』―――
どーゆーワケだか、N子と同じフトンで寝ようとしていた。そこはどうやら自分の家のようで、オレの両親も同じ家の他の部屋で寝ているように思った。がしかし、間取りや部屋の様子などに、まったく親しみのない場所だった。
そして、そういうことにでもなるか…と思った時に、流しの方からカタカタカタ…と、洗った食器の揺れている音がした。地震かと思ったがそうでもなさそうなので、自分はフトンを出て、外のようすをうかがい見た。

そうすると、自分がフシギにも大俯瞰テキなアングルにて目にしたのは、はるか向こうの方から、大水がゆっくりと押し寄せつつある風景だった。その一大パノラマの近景側では、寝巻きのまんまの近所の人々が、ボーッと遠景側の水塊を眺めているのだった。『この一大事に、ナニを落ち着いているのだろう、この人々は?』…と、自分は考えた。

やや状況を細かく言うと、自分らの寝ようとしているフトンの枕側にはおそらく廊下や浴室や他の部屋があり、足の側には台所と玄関があった。その玄関から顔をつき出して眺めると、『枕の方角』から、大水は押し寄せていた。
ともあれ、こうしてはいられない、逃げねばならない、荷物を持ち出すよゆうもなく、からだひとつで…と、自分は考えた。そしてN子にも着替えを急ぐよう促したが、なぜだか彼女は慌てるでもなく、そして動くのがおっくうそうだった。

そんなことをしている間に、とうとう大水が押し寄せてきて、家の中にもゆっくりと水が浸入してきた。そうして家から出ることさえもできぬ間に、水の高さが立っている胸のあたりにまで達してしまい、『これはだめかも!?』と感じて恐怖と不安が高まった時に目が醒めた。

2010/04/10

500円玉と、五ぼう星

 ――― 2008(?)年?月?日。『500円玉と、五ぼう星』―――
その世界では500円玉が、五ぼう星(☆)のカタチをしている。『500円と五ぼう星とで、数が合っているナ』と、自分はへんになっとくしている。がしかしどこかの店だか自販機だかで、その五ぼう星型の硬貨は使えないと知って、おどろく。

高齢者の最終処理

 ――― 2008年10月?日。『高齢者の最終処理』―――
政府のお達しにより、これ以上たくさんの高齢者を養いきれないので、何かテキトーに数百人ずつを選抜して『処理』するということになった。オレの施設の入居者からは、Y岸さんが選抜された。
どのように処理するかというと1人ずつを段ボール箱に押し込んで、上からガソリンをブッかけて焼却するというのだった。その立会いのために、オレもその処理の現場へ行くコトになった。
現場へ行くと、その高齢者たちの押し込まれた段ボール箱が放射状に並べられている。その描いた円形の模様の中心部に、監視用のチョッとした建物がある。
『コレだと焼却の最中に、見ているオレらまでもがキケンなのでは?』…とは思うが、他の人々がみんなヘーキそうなので、とりあえず黙っている。ソコいらをウロウロしている人々の中には、見知った顔が何人か…T村支社長も来てるようだった。
ところが、いよいよ点火がなされたところで。おそらくは反対派の妨害工作により、高齢者らを処理するための炎は途中で消されてしまう。そうかといってギセイ者たちは救かったというわけでもなく、ある者らは燃えつきたまま、またある者らはナマ焼けのまま、あるいはガソリンまみれの箱に押し込められたまま、ただそこに放置されているばかりだ。
この妨害工作の犯人をつき止めるためか何かの目的で、われわれ関係者も、その場に足止めを喰ってしまう。何かすることがあるというわけでもなく、われわれはその建物の中をウロウロするばかり。

後輩クンの作文

 ――― 2008年03月7日。『後輩クンの作文』―――
後輩クンが、アッという間に作文を書き上げる。
「40字詰め原稿用紙」という珍しいしろものに書かれている。
「コミックスの臭気は、現実の傷口である」。
「書き出し、イイねェ!」と、オレは思わず叫ぶ。

サポーターのエレベーター

 ――― 2008年03月30日。『サポーターのエレベーター』―――
浦和レッズの試合が海外のドコかで行われよーとしてて、自分もその場に来ている。しかしその会場がスタジアムでも何ンでもなく、工事現場っぽぃトコの荒地の上だ。むしろ巨大なビルディングの1階の吹き抜けが、廃墟と化して地面が出ちゃっているよーな場所だ。おかしいと思うがサポーター連はすでにソコへと集結していて、早くもコールやチャントで気勢を上げている。
その一角にエレベーターの入り口があるのを見つけて自分は、たわむれに乗り込み上の階へと登ってみる。そしてエレベーターのガラス張りの扉から見ると、上の方にはショッピングセンターか何かがあり、機能している空間であるらしい。
そして自分はエレベーターから降りもせずに、再び1階へ下ろうとする。その途中で、エレベーターに乗ろうとしているヒトを2回も見かける…がしかし、カゴは止まらずに降り続ける。その2人の乗りそこねは、自分の意思による現象ではない…がしかし、ソレをビミョーにもユカイに感じてしまう自分。そしてエレベーターが1階にまで下りきると…?

ベランダの植物に水を

 ――― 2010年4月9日、昼。『ベランダの植物に水を』―――
自分は女性の部屋に転がり込んでいる最中で、部屋の主はいない。尿意を覚えた自分は、なぜかトイレに向かわず窓を開け、ベランダに向かってしゃがんで用を足す。
そうすると、そのままではよくないと思って自分は、ベランダのコンクリの床にホースの水を流す。そこで思い出したのは、留守番中の自分にはベランダの植物らに水をやる責務があるということで、自分は引き続きそのタスクに向かう。
このあたりから、最初はひじょうに狭かったアパートのベランダが、だんだんとビルの屋上のように広くなっていく。水をまきながら見ていると、そこにはふつうの花壇みたいな植物がなくて、サボテンみたいなしぶいものが多し。さもなければ、土の中からやたらに大きな、ダイコンともカブともつかない巨大な根菜が見えていたり。庭園というにも、ずいぶん荒廃している感じ。
さらに自分が、ぐるっと廻ってベランダの『裏手』のようなところに向かうと、おかしなものがある。ちょっと高い台の上に、人体のかたちのものがいくつか置かれてあり、その人体(?)のあちこちから点々と草が伸びている。
ちょっと考えてそれらは、人体のかたちの袋に土が詰めてあって、そこから草が外に伸びているのかな…と推測する。こういうのも、一種のトピアリーというのであろうか。にしても悪趣味と思えるので、女が帰ってきたら話してみる必要があるか…と考える。
それから大したイベントもないままに、他の箇所での水まき作業が続くのだが、散漫な気持ちのままに自分は、『裏手』のオブジェの存在を意識しており、そっちには向かわないように気をつけている。

3人の魔女っ子

 ――― 2010年3月19日、明け方。『3人の魔女っ子』―――
現在の自分とは、ぜんぜん異なる舞台や設定にて。何と自分の家に女の子が、3人も遊びに来ている。しかも3人、いずれも見苦しくない。これはたいへん、どうしよう、と、一瞬は浮かれたのだが。
ところがいろいろ見ていると、この3人がふつうの少女でなく、魔女か何かだったらしい。お料理と言って、毛虫を具にしたおにぎりみたいなすごいものを作っているし。その持ち物のアクセサリー類(?)がまた、グロテスクな虫グッズのあれこれだし。
ムカついて自分は、そのグロ料理やグロアイテムらを『こんなもの!』とめちゃくちゃにして、自分が家から出かけようとする。このときに女の子たちは、台所かどこかにいるらしく姿がない。そして自分には、彼女らを追い出そう、という発想がない。そのうち帰るだろう、とだけ考えている。
そして玄関で気づいたのは、自分のスニーカーの内側に、何と毛虫の毛らしきトゲトゲが、えたいのしれぬ粘液をノリにしてべっとりと、付着しているのだった。とうぜん、女の子らのしわざだと考える。ちり紙か何かでぬぐい取ろうとするけど、きれいには取りきれない。ますますムカつき、けっきょくそのクツをはいて家を出たらしい。
どうやって一夜を過ごしたのか、その翌日。自分は帰宅して弟に、『きのう女の子たちはどうだった? 怒って帰ったか?』と、質問する。
そのとき自分は、昨日は少々やりすぎたかと後悔しているのだ。すると弟は、『いや、そんな様子でもなかったけど?』と、あいまいなことを言う。
そこへ玄関口の方から、『キャハハー、また来たわよー!』という女の子たちの明るい声がする。もうだめだ。自分は彼女らに勝てないし、そして逃げることもできないらしい。
やがて案内もされないのに家の中に入ってきた3人は、何か挑撥的っぽいほほえみを顔に浮かべている。彼女らに対し、何も言われぬ先から自分はその場に手をついて、土下座のポーズで、『昨日はごめんなさい! ごめんなさい! 謝ります、許してください!』と哀願する。ひたいを床にすりつけていると、涙が目からあふれてくる。
そうすると女の子たちは、許すとも許さないとも言わずにほほえんだまま、自分たちの荷物をそこに降ろして何かを準備し始める。そこで自分は、自分に迫りつつある、苦痛と屈辱にまみれたエログロ地獄の責め苦のあれこれを、まるでパノラマのように幻視する(終わり)。

このことはとりあえず、中坊時代のメモリーに関係ある。