2010/05/21

ロス・マクドナルド作品の新訳版?

 ――― 2010年05月21日、朝。『ロス・マクドナルド作品の新訳版?』 ―――
『リアンFFT』の夢(*)をみたあと、再び布団に入ったら、『気分的には続いてるんだが、あまり関係のない展開』という夢をみた。

自分が女性の部屋でウダウダしていると、そこをその女性の父親に急襲されてしまう。別に大した取り込み中ではなかったが、公認の仲というわけでもないので、あわてていずまいを整える。
その父親がちゃぶ台に向かっていて、自分は部屋のすみっこから、彼の背中を見ている。するとその父親は、何と三船敏郎その人だと分かる。『え? ありえない感じだが』と思ったところで彼が振り向くと、誰へのおみやげなのか、ブリスターパックの野球のボールをこちらに見せる。
そこらで視界のはしっこに、自分か彼女の弟たちが見えたような気もする。彼らへのおみやげかもしれない。それは、長嶋茂雄のサインボールらしい。よく見るとその父親は、星一徹のようにも思えてくる。

それこれ、ナンセンスではないか…と思ってその部屋を出て、自分はふらりと近所の古書店に入った(実在はしない店)。そしていつもの行動として、1冊100円とかのバーゲン品の棚からチェキる。
するとそのラック、文庫や新書が前後二重に詰め込まれてるので見づらいが、でも何かいいものが掘り出せそうな予感。ふと目についたのは、どこかのお店の銀色の包装紙でカバーされたままの、厚めの文庫本。そのカバーに見おぼえがあって、『これは自分がむかし持っていた本ではなかろうか?』とは思いながら、それを手にとる。

するとそれは創元推理文庫の、ロス・マクドナルド「こわくて」とか題された、長編小説の訳本だった(訳題の記憶は、正確でないかも)。そんな題名の作品は知らないが、ロスマクは故人なのでその新作はありえず、しかもその未訳の長編などは存在しないはず。
するとこれは、「さむけ」の改題版なのではなかろうか…とも思ったが、それは違うらしい(この夢の中での認識として、創元から「さむけ」の訳本は別に出ている)。そこで考えたら、他にロスマクの長編で、本の厚みでこれに匹敵するものは、「ウィチャリー家の女」と「眠れる美女」だけだ。

で、どっちかと言ったら、これは「ウィチャリー」の改題版である感じがする…などと頭では考えながら、自分は目の前の棚をチェキし続けていた。何であれ、そのロスマクの本を買うことは決めていた。どうせ100円かそこらだし。
で、また目についたのは、本が二重に詰め込まれて見えにくい奥の方に、何か心をそそるような題名の官能小説(らしいもの)の何冊か。ところがいっぺんそれを見失ってしまうと、なぜだか見つからない。いらだち気味に、手前の本をあちこちへ移動しても、それが出てこない。

というところで、さっきから自分と同じように、バーゲン品の棚に張り付いている男に気がついた。かなり若い少年で、ひょっとした中学生かもしれず、頭はリーゼント、服装は上下揃いのジャージという、むかしいたようなツッパリ君だ。別に兇暴そうには見えなかったので、あまり気にしていなかった。
別に読書家にも見えない彼は、さっきから何を熱心にさがしているのだろうか、先週の少年ジャンプを買い逃したのでとか、そんなとこかなあ…と思っていたら。ふと彼がこっちを向いて、『あなた、iceさんでしょ?』と、いきなりオレの名前を言ったのだった。

『あ、まあ、そうですけど』と答えたら、『わりいけど、あんたの父さん、ここへ呼んできてくんねかな?』と、ふしぎなことをを彼はオレに命じてくるのだった。
その命令が、そんなに高圧的な言われ方でもなかったのに、なぜか逆らえない気がして、『あ、じゃ、ちょっと待ってて』と言って自分は店を出た。買い物もすませないままに。
それから路上で、『やるにしたってめんどうだしやっかいだし、そもそもなぜこんなお指図を聞いちゃうはめになったんだろ? そもそもうちの父に、何の用が?』…などと考えているところで目がさめた。



目がさめてから考えたら、なぞのツッパリ少年(のモデル)は、オレの中学の時の実在の同級生、若林くん以外でない。
当時、こういうことがあった。オレらどうでもいいような中坊が下校しようと校門を出たところで、他校のツッパリ君たちに呼び止められ、『オメーら、若林を知ってんだろ? ココへ呼んでこいよ』と命令されてしまったのだった。

で、相手の人相が怖いので、うかつに『はい』と言ってしまったわれわれは、教室へ戻って若林くんにその話を告げた。すると彼は『うわー、まいったな!』と言い、他校のツッパリ君には会いたくないようなのだった。
『おまいらもさぁ、ちょっと機転きかせよ。“若林なんてヤツは知らない”って言っとけば、それですんだことじゃん?』
まったくその通りだが、『ツッパリ同志で仲良しなのかも』、とも思ったんだよなあ…。まるで加瀬あつし大先生のおまんが作品に出てきそうな、ローカルなツッパリ同士のいざこざと、それに巻き込まれたオレらではあった。ちゃんとそういうまんが作品で予習しとけばよかったのに(?)、オレらはムダによい子で無意味に正直すぎた。

そしてこの問題、さいごはどのように落着したのか、はっきりは憶えてない。けっきょくのところ、われわれはシカトして裏口から帰っちゃったような気もするし(!?)。またはそうじゃなく、他校クンたちのところへ戻って、『若林くんは、もう下校しちゃってました!』と偽りを報告したような気もする。たぶん、後者の線が濃い。
で、このエピソードが変形されて、さきの夢のオチになっている気がするのだった。

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