2010/10/10

ソープ的マルキシズム

 ――― 2010年10月9日。『ソープ的マルキシズム』 ―――
オレは大学3年生という設定で、現実にそうだったように、単位の足りなさを気にかけている。
飲み会に連れていかれ、ビール2杯しか飲んでないのに、割り勘でそれぞれ2万円の勘定だと言われる(!)。サイフの中には、1万5千円くらいしか入っていないのに!(これは現実がそう)
頭を抱えたオレが、うつ病か何かになりそうかもと見かねた女性の先輩が、その勘定を立て替えてくれたらしい。オレはその店を出る。

自分の部屋に帰る。卒業が迫っているので、荷物を実家に戻さなければならないな、と思う。叔母たちがそこへ現れ、『もう3年も経っちゃったのねえ』などと言う。

それから叔父によって、ソープランドへ強引に連れて行かれる(現実は風俗行ったことない)。とくに、そういう気分でもないのに。それもオレの払いで。
受付の後、伝票でお金を束ねて、5千円札にパンチの穴をあけたものが手渡される。そのお札は、オレのサイフから出たものだと思う。
『お金に穴開けちゃ、ダメじゃん!』と思ったが、この店的にはそれが『Paid』の印らしい。他では使えなくなるが、この店では通じる、ということらしい。
ただし、銀行で取り替えてくれそうな気もするので、このまま帰ってしまおうか…という考えも頭に浮かんだ。がしかし、ちょっとだけ好奇心がまさった。

で、伝票に『キング・クリムゾン』と書いてあり、それが相手のお姉さんの源氏名らしい。さもなくば、客としてのオレに付されたコードネームらしい。
お店は開放的すぎる構造で、おおまかな構造は2重の同心円になっている。内側の円はプレイルームで、後で知ったのだが、仕切りも何もない。その中で、30~40くらいのペアが、ひしめきあうような状態でソープ的なプレイをしているのだった。

で、そのプレイルームにたくさんのドアがあり、担当のお姉さん別に入り口が分かれている。自分は該当するドアの前で、電光掲示板に『キング・クリムゾン』という字が出るのを待たねばならない。
待っている場所が外側の円で、同じように待っている人々がずいぶんいた。かつこの外側の円のあちこちに、カウンターやゲート的なものがある構造になっていた。

ところがずいぶん待たされて、気がそれたところで掲示を見逃し、オレの順番は飛ばされてしまったようなのだった。で、そんな場合はその次の番、というほどかんたんなシステムではないようなのだった。

どうしたものか…と考えながら歩いていると、プレイルームの中が丸見えの、大きなはめ殺しのガラス窓に行き当たった(記述が前後したが)。思い出すと、アングルの名画「トルコ風呂」のような眺め、という感じもあった。
そして見ていると、たった5千円のわりにかなり激しいサービスがなされているようなので、『このまま帰ってもつまらないかな』と感じた。

困ったところで、カウンターのお兄さんに相談した。カウンターと言っても、廊下の真ん中に学校の机とイスが2~3コ並んでいるようなところだが。
すると、黒ブチめがねの秀才風、そしてバイト学生風、あえて言うと「うる星やつら」のメガネ君みたいなお兄さんは、オレの渡した伝票をチェックしながら、『あーこれね。…もう、まったく、よけいなこと書いて』…と、ふしぎなことをつぶやいている。

『あ、いや、その用紙は、オレが書いたのではないのですが…』
『うん、それはわかってますよ? しかし、職員に正しい手順をわかってないヤツが多くてネェ、ほんとに』

どこの職場でもあることで、言いたいことは分かるが、でも客のオレに言わなくても…と思った。ともあれ彼は、伝票等を作り直してオレに手渡し、『これで大丈夫』的なことを言った。

するとこんどは、コードネーム(?)が『ストライパー』になっている。しかも、5千円札だったものが、どこの国の通貨ともつかない、見慣れたお札になってしまっている! これではもう、持って帰っても仕方がない。
自分は該当するドアの前で、再び待つ。前のお客が、すっきりした感じで出てくる。
次は自分かな…と思ったら、予想外にお姉さんが顔だけ出してきた。自分は目の前で、それを見た。
その女性はわりに美人だったが、年齢は30過ぎくらいか、そして疲れている感じは厚化粧では隠しきれていなかった。で、その女性が、視線をオレとは合わせもせず、『次からは、18時からの部になりまーす!』、と、感情も込めずに言ったのだった。

かくて全館が、休憩時間に入ってしまったようなのだった。すると、館内のふんいきが一変した。オレが突っ立っていると、数人のナースが用具を載せたワゴンを押しながら、『どいてどいて!』と言わんばかりに、足早に通り過ぎていった。たぶん、お姉さんたちの体調の検査等があるのかな、と思った。
それから廊下では、さっきまでお客たちが座っていたイス(病院の待合室のイスみたいなもの)に、男女の職員ら10数人が腰かけて、何か講習のようなものが始まった。聞いていると、それは何とマルクス主義の学習なのだった。

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