――― 2010年09月11日。『ビバップ・ハイスクール・ララバイ』 ―――
自分は高校生。そして、ケンカ無敵でイケメンなわがままお坊ちゃまのA君は、自分の友人かつ親分のような存在。
たぶん下校のため、自分らは電車に乗った。これが、どういうのか、観光用の展望車のような簡易な車両で、ドアがなくて出入口は開いているだけ、という気もした。
車両の最後尾の出入口から、われわれが乗り込もうとしたところで、先頭のA君は、いちばん後ろの席、3人は座れそうなシートで独り、ゆうゆう居眠りしているツッパリ学生を見つけた。というかA君は、その彼がいそうなことを見越していたようなふんいきもあった。
車両はわりかし混んでいたので、A君はそのツッパリにケンカを売ってやっつけて、自分らの席をゲットしたいようだった。そして、こういう流れになってしまうと、自分ごときがA君をいさめてもムダであるらしかった。
代わりに自分は、ケンカの最中にとばっちりを喰わないように、自分らの連れの女の子たち(A君の彼女とA君の妹)を、車両のすみっこにおしつけて、自分の体で保護していた。紺ブレザーの制服の少女2人は、おびえてか、逆らいもせず自分に保護されていた。
そして、自分にしたってケンカなんて怖くて見ていられないので、そっちに背中を向けて、終わるのを待っていた。
やがて片がついたらしいので自分が振り返ると、相手のツッパリ君は、頭から血を流しながら車両の床に倒れていた。そしてA君は、勝利してなお気がすまないようで、『このクソがッ!』等々といきり立って、なおも相手に攻撃を加えようとしているのだった。
『よそうよ! もう十分だろう? 死んじゃうよ!』
『ッたってよぉ! この指をどうしてくれんだよ、痛えよ!』
と言ってA君が自分に示した左手の中指は、痛々しく腫れ上がって、たぶん脱臼か骨折をきたしていそうだった。それは殴り合い・蹴り合いの最中にそうなったとも思えず、相手がA君を押さえ込んで、意図的に指を折ろうとした結果かと、自分はそのとき考えた。
自分としてはA君の無敵を信じていたので、そのやられ方を見て、『今回は意外とやばかったのかな』とも感じたが。にしてもケンカなんてほんとにくだらない、かつ、この場はいったいどうやって収拾したらよいのか…!?
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