――― 2010年07月13日。『いやみすぎる管理人』 ―――
弟が自分を呼びとめて、家の天井を示す。すると知らない間に雨漏りがしていたらしく、天井板が腐ってきている。
そしてその腐った天井板を突き破ろうとしているのは、すごい昔に天井裏に押し込んだまんがの本たちだ。一部の表紙が見えていて、見覚えのあるものだった。というか、『天井裏にまんが本を押し込む』なんてことをしてみたのはすごい大昔なのに(それ自体、後日処分した気がするのだが)、わりと最近の本がそこに見えているのはおかしいな、とも思いながら。
ともあれ、これはいけない、と思った自分は、いらなそうな本は処分しようと思って、そこらにあった雑誌のふろくの小冊子を捨てに行った。捨てに行った先は、どういうわけだか学校の職員室だった。あいさつもなしに入って行って、そこのごみ箱にそれを捨てようとした。すると、どういうわけだか同じ赤い表紙の本が、すでに大量に捨てられているのだった。
これは、どういうことか…と考えたがしかし、『すでに大量にあるなら、1冊くらい足してもよかろう』と思ってごみ箱に自分の分を追加し、再びあいさつもなく、職員室を出た。この間に職員たちのようすを見たりはしなかったが、『ちょっと印象悪かったかもなあ』、とは思った。
そうした後で、廊下にて、自分の勤務先の職員らしき人が、オレを呼びとめた。そしていやみっぽく薄笑いで、
『iceさん、困っちゃうなあ。いや~あ、私が言われちゃうのでね…』
と言うのだった。
どういうことかと聞いてみると、
『いやその、「人工少女3」なんてねえ…ハハ、とやかく言いたくないんですが、しかしねえ…』
と、このブルーカラーの作業着を着た男はねちねちとからんでくるのだった(「人工少女3」は、実在する3Dエッチゲーム)。それを言われたら思い当たるふしが浮上しないでもなかったので、オレはもう少し説明を求めた。
『じゃ、これを見てくださいよ』
と言って男が示したのは、廊下の壁にへばりついた配電盤のようなシャーシに、むかしの電光表示板がついている、何とも昭和チックな機械だった。それがおそらく、施設内ネットワークのサーバのようなものであるらしい。そして男が何かの操作をすると、電光表示板の文字がくるくると変わって、しまいに『人工少女3.jpg』という文字になった。
つまりこの男が指摘しているのは、オレが施設のネットを使ってその画像1枚を閲覧したことらしい。ちょくせつ思いあたるところはないが、そんなのを見たかも知れなかった。
がしかし、それっぱかしのことで…と思ってオレは、
『困っちゃうって、ほんとに困ってますか? “私が言われちゃう”って、誰があなたにそれを言いましたか?』
と、言った。要するに、小さなことをことあげして、あんたがオレにからみたいだけでしょうが…という、言表の意図は伝わったはずだ。
すると男は即ブチキレて、いきなり廻しげりっぽい攻撃を放ってきたのだった。しかしまったくスピードがなかったので、オレはそのけり脚の根っこを右のわきで受けとめ、そして体をあびせてこの小男を押さえ込んだ。ちょっとしたネットの私的利用もよくはなかろうが、こんな暴力の方がよっぽど悪い、まったくふざけたやつだ…と考えながら。
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