2010/05/03

4等身にデフォルメ / イヤミ氏ばりの出っ歯

 ――― 2010年5月3日、早朝。『4等身にデフォルメ / イヤミ氏ばりの出っ歯』―――
浦和レッズの人気が低下しつつあるさなかに、熱心なレッズサポーターの友人がそれ関係の番組のプランを立てたという。それをラジオ局にプレゼンしに行くので、自分も同行する。
いかにも『編成部』という感じの地味な事務所にて、プロデューサー(かディレクター)の机の前に椅子を集めて、われわれは座った。そして40前くらいの年齢の、太り気味でエネルギッシュな感じのプロデューサーは、彼もまたレッズのファンではあるので、友人が話すのをひじょうに熱心に聞いてくれた。
しかし見通しは思わしくないらしく、話が一段落しても、彼の表情は晴れない。そして、企画に対して第三者的な立場のオレに対して、『あなた、これ、いけそうに思えますか?』と、意見を聞いてくる。
自分は、『はい』とは言えなかった。ふと見ると、デスクの正面にレッズ関係の現行の番組の聴取率の表がはってある。それがたいそう、よくない数字らしかった。

話が飛んで、たぶんそこからの帰り道、1人で歩いていた自分は、以前の職場で同僚だった女性と男性を、路上に見かける。2人は夫婦で、女性のほうはベビーカーを押している。そしてそれぞれ別の用があって、その場で別行動に進むところだった。背後から近づいたので、さいしょ向こうは気づいていなかったと思う。
さて自分は、この2人のうちの女性に対してはきっっぱりと悪感情があり、男性に対してはわりと好感をもっていた。そこでまず、女性が横の道に進むのをやりすごした。ほんとうは気づいて無視したのかも知れないが、女性はみょうに上きげんそうにベビーカーを押しながら、オレの方を見ぬままどこかへと去った。その姿は、まんがのキャラクターのように4等身くらいにデフォルメされ、しかも陽炎の中のイメージのようにゆらめいて見えていた。

と、女性がいなくなったので、自分は男性の方に近づいて、『や~、久しぶり!』と、声をかけた。そしてふつうに、お互いと共通の知人らの近況などを報告しあった。しかし彼は、オレとさっきの女性との仲が悪かったのをよく知っているので、彼女のことは話題にのぼらせないのだった(もちろんオレも言い出さない)。
そこへ、われわれ2人の前に、こっけいな出っ歯(イヤミ氏のような)の呼び込みが現れ、『いや~お兄さん方、どうでげすか?』などと、呼び込みがかかる。足立区の場末の、まだ早い夕方なのに、こんなのは珍しいな…と思ってよく見たら、ハデなプラカードを持った呼び込み氏は、自分の学校の後輩で、よく知っている人物だ。
『あれ~、君は!』、『あなたは!』と、オレたちは予期せぬ再会を喜びあった。だがオレは、自分もまったく出世なんかしてないくせに、そして昔からこの後輩くんがお調子者だったとは言え、彼がおかしな出っ歯の呼び込みに身を落としているのは、ちと残念な気がしていた。
そしてかっての同僚に対して、かっての後輩を軽~く紹介しようかとしたところで、自分は目がさめた。

【補足】 上記の登場人物は、ラジオ局員以外は実在の知人。ただしすべて、びみょうに設定が変わっている中で特に、夫婦とある人物らがまったく夫婦でないというのは、ずいぶんと大きな作りごとになっている。
またこれらに先立って、もっと早い時間に、SFファンタジー的な設定の夢を見ていた気がする。そこで自分たちは、合体によって進化する動物だった。しかし、現在の状況に対応した進化が、思ったようにはできない。ゆえに、別種族からの迫害を押し返せない、という種族の苦しみに遭っていた。というイメージは、永井豪の「デビルマン」や「魔王ダンテ」らに関係あることかもしれない。

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